もともと高血圧な人は減塩で血圧が下がることも
減塩で血圧は下がらないことがわかりましたが、そもそもなぜ血圧を下げたかったのでしょうか。心筋梗塞や脳卒中を防ぎたいからですね。
たしかに血圧を下げる薬の試験で、血圧を下げれば心筋梗塞や脳卒中を先送りにできることが証明されています(注9)。
注9 Lancet. 2021 May 1;397(10285):1625–1636.
そして減塩をしても血圧は下がりません。血圧が下がらないので、病気を防ぐこともありません。
ただし、少し例外があります。
前に挙げた減塩の効果は、血圧が高くない人についてのデータです。同じ調査で、すでに高血圧と診断された人は減塩をすると7mmHgくらい下がるという結果が出ているのです。
ややこしいので整理します。もともと血圧が高くない人では、減塩をしても血圧は下がりません。対して、もともと高血圧の人では、減塩で血圧が少し下がります。
「なんだ、やっぱり下がるんじゃないか」と思わないでください。
高血圧ではない人のほうが多いのですから、大筋としてはまず「下がらない」というべきです。
世の中では高血圧の診断という特殊な条件を断りもなく前提として「減塩で血圧が下がります」といっているわけですが、そちらのほうが不正確です。
それに、減塩の効果は、これから説明するように、あまりに小さいのでほとんど意味がありません。