「環境に配慮しています」で満足しない
これから機関投資家や企業は、社会変革に向けた動きを進めていくだろう。これに伸るか反るかは、消費者としての私たちの意思次第だ。カーボンニュートラルやネイチャーポジティブを実現しようとすれば、当然、自由に使える資源は少なくなっていく。そうなれば、自ずと企業は、「モノ消費」から「コト消費」へと事業の軸足を移していくだろう。
だが、もし私たちが、コト消費では満足できず、モノ消費を要求すれば、企業は未来に向けた方向性と消費者需要との間で板挟みにあってしまう。社会変革に反れば、当然、地球はさらに悲鳴を上げていく。そしてそれで生じる悪影響を被るのは、私たち自身なのだ。
IPCCでもIPBESでも、地球環境の危機に真剣に向き合っている人たちにとって、唯一行き着いた答えが、限界値以内の絶対的デカップリングを実現するための社会変革を早めていくことなのだ。
私たちに最も期待されていることは、その変革を起こせるためのイノベーションを起こすことであり、その変化から取り残されかねない人を支援しながら公正な移行として遂行していくことだ。その変革を支えるためにも、資本家として、有権者として、消費者として、果たせる役割が数多くある。
私たちは、つい「環境に配慮しています」で満足しがちだ。だが、これではなにも事態は解決しない。そろそろ私たちは、この現実に正面から向き合わなければならない。