「妊活」ではなにが重要なのか。聖隷浜松病院リプロダクションセンター長の今井伸さんは「男性の立場で重要となるのは、陰茎よりも精巣。陰茎のほうがどうしても目立つが、妊活をするうえでは精巣の大きさを確認しておいたほうがいい」という――。(第2回)

※本稿は、今井伸『射精道』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

男性の問題と病気を持つ不健康なビジネスマン
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不妊の原因は必ずしも女性側だけの問題ではない

第1条 妊活は二人の共同作業にて積極的に取り組むべし

僕はNHKの朝ドラが好きで、ここ10年くらいはだいたい欠かさず見ています。朝ドラの舞台は戦前であることが多いのですが、話の中で、今でいう妊活の場面がちょいちょい出てきます。そうした時に、ちょっとおかしいと感じる場面があります。子どもがなかなかできないと、女性だけの責任とされていることです。当時の人たちにとっては「男性にも責任がある」という発想がほとんどなかったことが分かります。「男性は種さえ蒔いておけば何とかなる」的な考えです。

最近は夫婦でブライダルチェックをするカップルも増えましたが、まだまだ「子どもができないのは女性のせいである」という考えの方は、多くいらっしゃいます。しかし実際には、WHO(世界保健機関)の報告によると、不妊の原因の約半数は男性にあることが分かっています。

ところが、リクルートライフスタイルが2018年に行った「不妊に関する意識調査」によると、不妊原因の半分は男性側にあることを「知っている」と答えた人は、男性で46.4%、女性で56.7%でした。調査対象になったのは「将来子どもが欲しいと思っている」20~40代の男女です。つまり、妊活に関心がある男女でこの数字だったわけですから、それ以外の男女については、さらに知らない確率は高くなると想像できます。

「妊活」は夫婦二人の共同作業

僕が勤務するリプロダクションセンター(生殖医療専門施設)では、最近になってご夫婦で受診されるケースが増えてはきましたが、「妻に言われてしぶしぶ……」といった夫もまだ見られます。さらに、精液検査に対してネガティブな反応をする方や、中には「屈辱的」と口にする方もいらっしゃいます。

まだまだ、不妊治療において最初のアクションをとるのは女性が多いのが現状です。

しかし、当たり前ですが、子どもは夫婦二人で作るものです。お手伝い感覚やつきそい感覚を捨て、男性も妊活を自分の問題として主体的に関わるのだ、とマインドセットしましょう。夫婦二人の共同作業として、妊娠を目的としたセックスに取り組んでください。妻だけ、もしくは夫だけの孤独な戦いをしていては、子どもは作れないのだ、と肝に銘じてください。