本質をつかむことは精神的な自立につながる

3は、先に述べたように、獲物の「獲り方」を覚えることです。獲り方を知ると、獲物によって調理方法が異なることもわかります。「この肉は焼くのが美味しい」「この魚は刺身に向いている」というように、ものごとの本質を見つめて、状況を正しく把握できるようになります。

すると、人と無駄な競争をすることがなくなり、むしろ人と助け合うことができるようになります。心の柔軟性が高まり、ものごとの本質がわかることで意思決定力も強くなります。それによって、精神的に自立することにもつながります。

これら3つが「あいまいさ」を身に付けるためのコツです。これから少しずつマスターしていきましょう。

「あいまいさ」を身に付けると、なにより心に余裕が持てます。いまあなたが抱えている問題に対して、これまでとは違った発想で対処できるようになります。

また、他人の考えや行動を「白か黒か」で判断しなくなり、他人の気持ちに思いを馳せられるようになります。そのため、あなたをめぐる人間関係はどんどん好転していくでしょう。

海辺の小道を走る若い女性
写真=iStock.com/Margaryta Basarab
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「知らんがな」は心に余裕が持てる魔法の言葉

ここまで、人間が本来持っている「あいまいさ」のパワーについてお伝えしてきました。そして、この「あいまいさ」を簡単に身に付けることができる、まるで魔法のような言葉があります。

それが、「知らんがな」という言葉です。

ご存知のように、「知らんがな」は関西弁で、関西では多くの人が日常で頻繁に使う言葉のひとつです。相手に「そんなん、知らんがな」といわれると、関西人以外の人はちょっと突き放されたように感じるかもしれませんが、関西ではそんなニュアンスはありません。

確かに、自分にとってどうでもいいことに対して、「知らんがな!」と反論する言い方もありますが、わたしが関西の人たちにヒアリングしたところ、「知らんがな」はどこか笑いのニュアンスがある、ほんわり温かいイメージがある言葉なのです。

わかりやすくいうと、なにかあったときに「知らんがな」とつぶやくだけで、心に余裕が持てて、視点や発想をうまくチェンジすることができます。つらい気持ちだったとしても、「そんなん、知らんがな」と力を抜けば、「まあ大変だけど、そんないまの時間も楽しんでみよっか」と思えてしまうから不思議です。