パワーカップルのタワマン購入は高値づかみになる恐れも

マイホームに話を戻しましょう。

最近パワーカップルと呼ばれる共働きで世帯年収が高い夫婦がタワーマンションを買っていると話を聞きます。その魅力は防犯面や眺望にあるようです。新宿区の「新宿区タワーマンション実態調査報告書」(2020年3月)によると、タワーマンションを選んだ理由として居住者の約6割が「防犯面で安心」を、約5割が「眺望が良い」を挙げています。

しかし、都心の不動産は価格が上昇していて、これから購入すると、高値づかみする恐れがあります。それを回避するには、今後も値上がりを期待できる物件の見極めが必要です。

お金持ちはランドマークのタワマンを買う

お金持ちの中にもタワマンを買っている人がいますが、多くはランドマークになるような有名なタワマンを買っています。たとえば、東京五輪の選手村が転用される東京・中央区の「晴海フラッグ」はいわゆるタワマンではありませんが多くの人に知られており、お金持ちにも人気の物件。約18haの土地に住宅、商業施設、小中学校、公園などが併設される予定です。

五輪延期などで一時はトラブルになりかけましたが、都心の地価が上昇したことによって大幅な割安感が生まれています。抽選に当たった人が契約後、すぐに転売しても利益が出るほどの状況になっています。

売却するつもりがなければ、買ってから値下がりしても問題はないかもしれません。ただ、マイホームが値下がりしているのと、値上がりしているのでは、精神的な余裕がまったく違います。不動産の購入で失敗しないためには、時期とエリアの見極めが非常に大事なのです。

港区のマンションの価格も上がっています。先日もリーマンショック後に買ったお金持ちから売却の相談があったので価格を調べてみると、買った価格の2倍程度に値上がりしていました。これは購入する時期がよかった例といえるでしょう。

海外富裕層に人気のタワマンの条件は“ビュー”

ランドマークになるようなマンションが値上がりするのは理由があります。買い手が国内だけでなく海外にもいることです。とくに円安が進んだいま、海外の富裕層から見て、日本の不動産は割安になっています。日本に来たときの拠点として、また投資用としてマンションを物色しています。

海外の富裕層が好む物件は、どんな条件を備えているのでしょうか。それは、海外でも知られるブランド価値や希少性です。たとえば、東京都港区にある麻布や青山といった地名は国内外で広く知られており、さらに好立地の物件は数も限られるので希少です。

また、すばらしい“ビュー”があることも重要です。富士山やレインボーブリッジが窓の外に広がるような物件は、海外の富裕層にとってわかりやすい魅力です。「晴海フラッグ」は晴海埠頭の南端に位置するため、晴海フラッグの中でもレインボーブリッジが目の前に広がるような部屋は特に特に人気が出るでしょう。

もう一つは、ホテルライクな生活ができること。コンシェルジュが常駐していて、居住者にきめ細かいサービスを提供するタワマンも海外の富裕層が好みます。