占星術の世界で読み継がれるロングセラーで、世界中の占い師が参考にしている性格分析書『月と太陽でわかる性格事典』が、このたび鏡リュウジさんの監訳で復刊され、話題になっている。鏡さんは「SNS時代になって、誰もがたくさんの“ペルソナ”を使い分けるようになり、自分のなかの矛盾が広がっている。そういう今だからこそ、占星術という装置を、鵜呑みにするのではなく、もうひとつの自分を見るツールとして賢く使えば、きっと思った以上に役に立つはず」という──。

30年前の「星占い」の本が売れる謎

このたび、『月と太陽でわかる性格事典』が復刊された。一言でいえば、生年月日の星の位置からその人のキャラクターを分析する「星占い」の本だ。一見、たわいないエンタメに映るだろう。

だが、ちょっと待ってほしい。実はこの本、日本で最初に刊行されたのは2003年、原著に至っては1994年である。邦訳ではほぼ20年、原著は30年近く前の本なのだ。

それが今、この時代に復刊された。そして、ある人気料理研究家がツイートしてくれたおかげもあって、発売後すぐに楽天ブックスでは占い部門1位に、そしてアマゾンでもランキング上位に上った。

ついでに言っておくと、占い本の事情に詳しい方なら、この時期(10月上旬)に占い本のランキング上位につけるというのが想像以上に激戦の結果であるということをご存じかもしれない。

占星術とカップルの概念
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というのは各社「来年の占い」を、定番の暦や占い本として競って出すシーズンだからだ。その中で「来年の運勢」ではない、性格分析の本の初速が目立って良いというのは、ちょっと異例のことだといえる。

普通の星座占いより12倍詳しい

それはなぜか。監訳者である自分が言うのは手前みそもいいところなのではあるが、一言でいえば、それだけ内容が普遍的で、時代を経ても中身が古びていないということだろう。

「星占いなんて」という偏見をちょっと脇に置いて、できれば本書をパラパラ見てほしい。この本は通常の12星座(これは生まれた時に太陽が位置していた星座)と、月の星座(生まれた時に、あのお月様が位置していた星座)の組み合わせ、計144パターンで一人ひとりの性格を解説している。

いうなれば普通の星座占いよりも12倍詳しいということになる。そして、不思議なことにそれはなぜかよく当たっているように感じられる。家族で、友人たちで1冊回し読みすれば大いに盛り上がることは間違いない。