ジョブズがすがった「コーヒー浣腸」

ポール・オフィット著・ナカイサヤカ訳『代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?』(地人書館、2015)の「第8章 ガン治療」では副題に「スティーブ・ジョブズ、サメ軟骨、コーヒー浣腸 などなど」となっており、ジョブズのがん治療からの経緯を書いています。

コーヒー浣腸
写真=iStock.com/beemore
毎日コーヒー浣腸ではジョブズは助からなかった(※写真はイメージです)

そこには「……しかし、彼の選択は致命的だった。手術を受けたときにはがんは広がっていた。2011年10月5日、入退院を繰り返した末、スティーブ・ジョブズは治療可能な病で死亡した……」と記されています。

スティーブ・ジョブズが実践したゲルソン療法は、米国で1930年代にマックス・ゲルソンが、がんをはじめとする病気が食事療法で治るという「奇跡」の方策を提唱したことから始まりました。

数ガロン(米国では1ガロンは約3.8リットル)の果物、野菜、子牛の生の肝臓を混ぜた自然食(液体)を摂り、毎日コーヒー浣腸をして有害な体毒をデトックスする療法です。

現在、マックス・ゲルソンの娘シャルロッテ・ゲルソンが米国の規制を避けるためにメキシコでゲルソン療法による治療をしています(編集部注:2019年に死去)。

つまり、米国内では大っぴらにこの療法は実行できないのです。