ネットスーパーとeコマースの両方を活用

【田中】先ほど、大きな野望のキーワードとして「メガSPA&DX小売」というお話が出ました。ネットスーパーでは楽天と提携していますが、北関東だけではなくて全国展開する大きな切り口の一つとしてネットスーパーも考えているということでしょうか?

【相木】ネットスーパーとeコマースの両建てで検討しており、ネットスーパーは主に今の地域のお客様を対象に考えています。どうしても子育てや介護、働き方の変化の中でお店になかなか来られないけれど買い物はしたいという方はたくさんいらっしゃいます。スマホで注文したいというお客様に対して、お店から新鮮な商品をお届けしたいと思っています。これは私が参画する前からの話ですが、自分たちで一から作るのではなくて、プラットフォームを活用しようということで楽天と組むことにしました。

どの企業も悩みながら進めていると思いますが、配送効率の問題はどうしても出てきます。いきなり全店を対象にするわけにはいかないので、私たちの店舗が多くある群馬・埼玉・千葉の9店舗から進めていますが、もう少し加速しようと考えています。

ベイシアでは一日あたりの注文件数をトラッキングしていて、これが最高になることを「ギネス」と呼んでいます。昨日まさにギネスを更新しまして、数字がどんどん増えています。一度使ったお客様はもう一回使ってくださるので、もう少しアクセルを踏んでいこうと、チームが頑張ってくれています。ネットスーパーではeコマースでは扱えない生鮮食品も扱いますので、時間はかかると思いますが、少しずつ伸ばしていきます。

ベイシアの相木孝仁代表取締役社長
ベイシアの相木孝仁代表取締役社長

良い商品を出店店舗の顧客にしか届けられないのはもったいない

【田中】店舗を中心に展開していくのですね。

【相木】今のところはそう考えています。もう一つ力を入れているのがeコマースですね。自社サイトではなく楽天とYahoo!に出店しています。こちらも相当なポテンシャルがあると思っていて、商品は優れていますし、eコマースによってベイシアが出店している1都14県以外にもお届けできます。私たちの商品はどれもユニークで、品質やボリュームにこだわっていますし、いろいろな会社と共同で商品をつくったりもしています。これを1都14県、141店舗にしかお届けできないのはもったいないと。

eコマースによって北海道でも沖縄でもベイシアの商品を買うことができる状態をつくります。これまではナショナルブランド寄りの品揃えでしたが、オリジナル商品や冷凍食品だけではなく、八天堂とコラボして開発したくりーむパンも売らせていただいています。これがけっこうな勢いで伸び始めていますから、eコマースはもっと伸ばせると思います。

【田中】eコマースは楽天とYahoo!に出店していますが、自社独自の展開も検討しているのですか?

【相木】可能性はあるとは思います。ただ、自分たちで手がけることが目的ではありませんので、効率が良ければ2社以外にもアマゾンなどに出店することも考えています。