大統領のSNSアカウントですら、プラットフォーマーによって一方的に停止されてしまう。アイデンティティーの一つともいえるSNSのアカウントやデータも、もはや利用者が所有しているわけではありません。

もちろん、プラットフォーマーの存在によって秩序や安全性が保たれる面もありますが、自身のアイデンティティーがプラットフォームの一存で消滅する可能性があるという点は、このWeb2(2.0)時代の最大の問題といえます。

これに対してWeb3では、所有する権利がユーザーに戻り、自分のデータは自身のものとして持てるようにする動きが加速しているのです。

Web1.0→Web2.0→Web3.0の変化を図で表すと…
出所=『メタバースとWeb3

新規事業、スタートアップに投資する必勝法

私は、これまで多くの新規事業を立ち上げたり、投資をしたりしてきました。モバイルゲーム、モバイル動画、VR/AR、ブロックチェーン。新しい事業をつくる際には、私なりの必勝法というものがあります。

まず3年から5年後に来る市場はどこかというのを見定めて、次に市場が立ち上がってきたらそこで成功する会社はこういう会社だという仮説を立てて、最後にファンドを設立してさまざまな会社に投資をしながら、投資先間で情報共有を徹底して、仮説検証を高速に回していくという戦略です。

gumiが上場したのは2014年ですが、そのとき、次の新しい事業の軸を作っていこうと考え準備したのがモバイル動画でした。

当時、いまから3年から5年後にモバイル動画が来ると考え、そのときに勝つ会社というのは、スマホファースト、つまりスマホ「ならでは」の動画コンテンツ、体験、UI/UXを一から作ったところと仮定して、gumi venturesという20億円規模のファンドを通じて投資をしました。ここからは動画レシピアプリ「クラシル」など多くの成功したスタートアップが生まれました。

「ブロックチェーンならでは」を発明するのはどこか

ブロックチェーンの話にも繋がるのですが、私が信じているのは、新しいテクノロジーが出て来ると、そのテクノロジーじゃなければできないコンテンツ、体験、UI/UXというものを一から構築したところが成功するのだろうということです。

スマホゲームのときも、多くの企業は最初、家庭用ゲームやガラケーのゲームをスマホに移植しようとしましたが、そういったものは成功せず、結局ヒットしたのはスマホの機能を最大限に活用したパズドラや「モンスターストライク」のような、スマホでなければできないゲームでした。

私はブロックチェーンでもまったく同じことが起こると考えていて、重要になってくるのはブロックチェーンファーストで、ブロックチェーンならではのコンテンツ、体験、UI/UXを一から発明したところが成功していくと思っています。

でも、いま改めてプロジェクトを見渡すと、ブロックチェーンでなくてもできるプロジェクトが多く見受けられます。