坂本と同列には語れないが、斎藤佑樹氏に覚える違和感

坂本は1988年生まれで、高3時の夏の甲子園で優勝した早稲田実業高校・斎藤佑樹投手(34歳、早稲田大→日本ハム、2021年で引退)と同学年だ。同じ「ハンカチ世代」には楽天・田中将大、米ツインズ・前田健太、ソフトバンク・柳田悠岐ら日本球界を代表する選手たちがそろっている。

年齢的にピークを過ぎる頃で、田中も今季は大苦戦。MLBに挑戦した秋山翔吾と澤村拓一も厳しい現実を迎えている。西武時代に4度の最多安打を放った秋山は2000年にレッズと3年契約(2100万ドル)を結ぶも、思うような活躍ができず、今年6月にはNPB(広島)に復帰した。2021年にレッドソックスと2年契約した澤村も今年8月に事実上の“戦力外通告”を受けている。

そうした中で意外な活躍を見せているのが、甲子園のマウンドで、ハンカチで顔をぬぐっていた斎藤氏だ。今も変わらぬ爽やかな笑顔でメディアに多数露出している。

しかし、筆者がスポーツの現場で多くのアスリートやトレーナーなどを取材していると、この“現象”を不思議に思う層が一定数いる。彼らは嫉妬しているわけではない。異口同音に語るのは「斎藤氏はNPBで大して活躍してないのにね……」ということである。ある男性スポーツ関係者は「ちょっと気持ち悪いよね」と生理的な嫌悪を示すほどで、社会全体にも違和感を抱く人も少なくないと思われる。

斎藤氏が最も輝いていたのは、前述した早稲田実高時代からエスカレーターで進学した早大時代だ。夏の甲子園決勝で駒大苫小牧と延長再試合という壮絶な戦いを演じて、のちにヤンキースエースとなる田中将大に投げ勝った。早大でも東京六大学野球史上6人目となる通算30勝300奪三振を達成するなど活躍。4球団からドラフト1位指名を受けて、日本ハムに入団した。

1年目に6勝(6敗)、2年目に5勝(8敗)。その後は、なかなか勝てず、1軍と2軍を行き来した。NPB10年間の通算成績は89試合で15勝26敗。防御率は4.34だった。なおNPB史上、60試合以上に先発しながら、通算15勝以下に終わったのは斎藤氏しかいない。結果を出せないにもかかわらず、長く現役を続けられた(球団が契約を継続した)ことに首を傾げる野球関係者やファンも少なくなかった。

2016年には「早大OBであるベースボール・マガジン社の社長に二軍練習場に通うために高級車ポルシェのカイエンをおねだりした結果、800万円を超えるマカンの新車を提供された」と『週刊文春』に報じられている。期待が大きかっただけに、斎藤氏のNPB時代は控えめに言ってもショボいものがあった。