※本稿は、チェ・ジウン著、オ・ヨンア訳『ママにならないことにしました』(晶文社)の一部を再編集したものです。
韓国の“子なし夫婦”に向けられたお説教の中身
インスタグラムで「ダブルユーのソーソーセンガク」という日常漫画を描いている作家のインタビューを読んだ(※)。同い年の友人と結婚して10年を迎えるパク作家は「韓国で子なし夫婦として生きて行くこと」というエピソードを通じて自分たちが経験した無礼、同情、差別についてのエピソードを話したことがある。
※【引用】「カップルNストーリー:黒いスーツに白い靴下、なぜ穿いてきたのか尋ねたら……結婚10年目の私たち夫婦がDINKを悩む理由」、ハン・スヒ(エディター)(サムラップ、2019年9月26日)
「私たちにとって、『子ども』の問題はまだ悩んでいる最中のことなんです。最初は『二人でいるほうが楽』という気持ちでした。でも、だんだんと子どもを産んで育てて、責任をとるというのは普通のことじゃないと、重圧感として迫ってきたんです。(中略)どんな選択をするにせよ、完全に私たち二人の幸せのための決定をして一緒にのり越えていきたいですね」
それなのに、この文句のつけようのない答えに300を超すコメントがついた。二人の考えを尊重し応援するレスもたくさんあったが、わざわざお説教するようなレスによって炎上が起きて……地獄絵になった。いったい子なし夫婦のなにが彼らの攻撃ボタンを押したのか気になり、目に入ったコメントをいくつかタイプにわけて整理してみた。
偏見・呪い・愛国・偽善…攻撃コメントの4タイプ
偏見タイプ
・自発的DINKはごく少数。不妊だってことを隠すための道具でしょ。(一人の人が同じコメントをいくつもコピー&ペーストしていた)
・ただの不妊でしょ……うちは娘2人、息子1人……うらやましいでしょ?
・周囲のDINK族をみてると、あったかい家庭で育った人があまりいないよね。
呪いタイプ
・いくらジャジャ麺が好きでも一日くらいはちゃんぽんを食べないとちゃんぽんの味がわからないように、二児の父としては、ジャジャ麺を諦められないからという理由で、一生ちゃんぽんの味を知らずに生きて行くのと似てる気がしますね。(これは二児の母の立場もぜひ聞いてみたい)
・今はいいだろうけど、あとで年取ってから後悔するはず。
愛国タイプ
・全地球人があなたのようなことをしたら地球に人間がいなくなるぞ。(誰かがこのコメントにつけたレスは、「地球村の大統領のおでましだ」だった)
・DINK族が国の新婚夫婦として恩恵を受けるのは詐欺ではないんですか? DINK族を装った結婚と何が違う? DINK族は国が結婚を無効にすべきです。
・出生率をあげるためにも国がこういう結婚を認めるべきじゃない。
偽善タイプ
・個人的にはみな尊重してますが、ネイバーのトップページにこういうのが出てると、まるでこれがクールなことみたいなイメージを与えるので不快ですね。(何を尊重してるというのかわからず、こちらが不快ですね)
・私もDINK族に子どもを産めとか産むなとかいう権利はないと思ってます。でも、そういうライフスタイルをいちいち見せる必要はないと思います。