転職で年収をアップさせるにはどうすればいいのか。中小企業専門コンサルタントの山元浩二さんは「求人情報だけで転職先を決めてはいけない。高い給与額が書かれていても、年収が下がることがある」という――。
悩む日本人男性ビジネスマン
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ベンチャー転職を決めた30歳営業マンの後悔

中小企業に対する税制の拡充、物価高、最低賃金引き上げなどで、賃上げが注目されています。今春、私のクライアントでも昇給率を前年よりアップさせた企業が8割超に上りました。特に中小企業の場合、人材を定着させる目的で賃上げに踏み切る経営者が多いです。

入社を考える人にとっても、賃上げに取り組み、給与額が高い企業のほうが魅力的に映るでしょう。しかし、入社時の給与や賞与回数など、求人に書かれている情報だけで判断すると、将来の年収が思っていたよりも少なくなる可能性があります。

私のクライアントである中小企業X社で、営業を担当する30歳のAさんから聞いた話です。Aさんはこの会社に転職してきたばかりでした。

1社目でも営業職だった彼は「30代を前にもっと収入を増やしたい」と、27歳の時に転職活動を実施。いくつかの会社を比較した結果、2社目に選んだのはIT系のベンチャー企業でシステム開発やアプリ開発の案件を受注する営業職でした。

前職での営業成績やITの知識を高く評価してくれたこと、提示された給与が前職よりも高く、歩合給もあったことが決め手になったそうです。

転職2年目でハマった落とし穴

転職1年目は、案件も順調に獲得し、給与もアップしました。ところが、2年目になると思うように成果が出せず、むしろ年収は転職時の額までダウン。

しかし、収入が減ったことよりもつらかったのは、成果が出せない自分に対してのサポートがないことだったと言います。