テレビ朝日と韓国テレビ局は資本関係にある
むしろ、趣きやルックに拘って視覚情報が重いオリジナル版では気づきにくかった良さでもある。軽くなった利点として、ストーリーやキャラクターに没入しやすくなった。
竹内が「パク・セロイ」から「宮部新」に、新木は「スア」から「優香」に、平手は「イソ」から「葵」として見えるようになり、それぞれのキャラクターの魅力が上がった。憎たらしい役どころだが、早乙女も然りだ。
面白さが増した背景として、リメイク作品では珍しく、共同制作というかたちをとっていることが影響していそうだ。設計から具体的な作りまで、制作サポートが受けやすい。現に「梨泰院クラス」の主要制作スタッフが来日までして、密なやり取りを重ねて「六本木クラス」は作られている。
そもそもテレビ朝日と「梨泰院クラス」を制作した韓国新興のテレビ局JTBCは資本関係にある。JTBCが開局した2011年にテレビ朝日はJTBCに出資し、JTBCの親会社である中央日報グループと業務提携を結んだ経緯がある。
クライマックスの土下座シーンはどうなるのか
この完全タッグによって、1話こそ違和感は覚えたものの、リメイク作品としての価値は十分あるのではないか。キャラクターを軸に物語が展開するのは日本ドラマの面白さであり、その特徴が集約された。打ち切り回避を願う声があるほど、最後まで作品を楽しもうとしている層が実際にいる。テレビ朝日は香川の続投を発表しているが、予定している9月29日放送の最終話(第13話)まで先は長い。
今後の放送で恐らく登場する竹内と香川が土下座をめぐる一騎打ちのシーンは、面白おかしくパフォーマンス的に演じるものでは決してないはずだ。オリジナル版から予想するに、想像以上に意味を持たせる土下座になる。作品としての最終的な価値を決定づけるものと言っても過言ではない。できるものなら、邪念なく楽しみたい。このドラマの面白さに気づくほど、その思いは増す。