【CASE3】子供を巻き込み「お涙ちょうだい劇」

妻の浮気がきっかけで、夫から離婚を切り出されたケースもある。

「浮気がバレて『この家から出ていってほしい。子供は置いて行け』と夫に言われました。あの時ほど、自分の浮気を後悔したことはない」とM美さん(50歳)は振り返る。

22年前に結婚し、34歳で子供を生んでからはセックスレスの状態だというM美さんは、勤務先のショップの店長に誘われるまま数回浮気をした。

「このままセックスをすることなく人生が終わるのかと思ったらさびしくなったんです。相手には愛情はそれほどなかったものの、女として見てもらえるうちに『もうひと花咲かせたい』という気持ちが芽生えました」

二人の関係は相手の転勤によって終わったが、ラブホテルから出てくるM美さんを目撃した友人が夫に知らせたことで浮気が発覚。夫は即時、M美さんに離婚を言い渡したのだった。

「たしかに浮気はしましたが、家庭を壊す気はまったくありませんでした。だから、どうしても夫婦関係を修復したかった」というM美さんだが、妻の一方的な言い分や謝罪に対し、夫はかたくなに耳を貸そうとしなかった。

やがてM美さんが家を立ち退かないことを知った夫は、自分から自宅を出てマンスリーマンションに移っていった。

そこでM美さんは最終手段として、子供に協力してもらうことを考えたという。具体的には、当時はまだ小学生だった子供に、毎日のようにビデオ通話をさせることからはじめた。

「図工の時間に描いた絵を先生にほめられたよ。パパにも見てほしいな」
「サッカースクールでパスをミスしたけれど、どうしたらうまくできるようになるのか教えてよ」
「クリスマスにはケーキを買ってきてね」

というような日常生活の出来事に織り交ぜ、父親に会いたがっていることを伝えたのだ。

クリスマスケーキ
写真=iStock.com/zepp1969
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ほかにも、「これを書いてくれたら、ママがゲームを買ってあげるよ」と報酬で誘い、M美さんが下書きを書いた手紙を清書させもしたとのこと。

「『パパに会いたくてたまらないから帰ってきてほしい』『パパがいないと悲しい』などと、妻の私ではなく、あくまでも子供のために別居や離婚を考え直してもらうよう、必死で働きかけました」

こうした子供の協力のおかげで、約半年後に夫は自宅に戻ることになった。数年たった現在も、「まだ完全に信頼関係を回復したわけではないが、熟年離婚にはいたらず、ほっとしている」と語る。