【CASE2】上司を巻き込み「夫は左遷&愛人は退職」
「夫と子供のために尽くしてきたような結婚生活だったのに、この年で別れるなんて身勝手にもほどがある」と憤りを隠せないのはH菜さん(51歳)。
学生時代、勉強に励んだH菜さんは、念願の有名企業に就職したものの、働きはじめて2年目で妊娠が発覚したため結婚。同じタイミングで夫の海外赴任が決まったこともあり、仕事を辞めて夫に同行した。
「本当は出産後もバリバリ働きたかったが、やむをえずキャリアを中断しました。6年間の海外生活では2人目の子供も生まれ、専業主婦として2人の子育てをした。夫は慣れない海外生活のため家事や育児を手伝う余裕がなく、私はほぼワンオペ。愚痴や不満をぶつける相手もいなかったため、ストレスはたまる一方でした」
帰国後、子供が小学校に上がったタイミングで復職を考えるも、夫からは「まともな職歴やスキルもない30代を雇ってくれるところなんてないでしょ?」と嘲笑されたK子さんは深く傷ついたという。
「夫と子供のためにキャリアをあきらめたのに、感謝されるどころかバカにしたような物言いに、心底腹がたったし悲しかったです」
その後、十数年、専業主婦のまま過ごしたH菜さんが夫の浮気に気づいたのは1年前のことだ。
「コロナ禍で出社の必要がなくなったにもかかわらず、毎晩深夜に帰宅するようになった。お風呂に入っている間に、こっそり携帯電話を見たところ、同じ職場で働いている部下と思しき若い女性と二人でレストランや温泉に行っている画像がたくさん出てきて驚いた。とっさに怒りが込み上げてきたが、とりあえずその晩は夫のことは責めずに過ごしました」
それから1年後、H菜さんは夫から離婚を切り出されたのだった。
「私に経済力があれば、すぐにでも離婚したかもしれません。でも、今までずっと専業主婦でいた私は、ここで別れてすべての財産を二分にするより、このまま夫婦でいたほうが金銭的には得だと考えました。夫婦関係に愛情がなくなった今、仮面夫婦でも経済的に困らずに暮らせるほうが楽。夫の浮気を許さないためにも、別れないことを決めた」
その後、H菜さんは夫には知らせずに会社に電話をかけ、夫の上司と会って、自分の携帯電話に転送しておいた夫と部下の女性との浮気画像を見せながら相談したとのこと。
「夫の上司は『わかりました。私の管理不行き届きもあったと思います』と謝ってくれました」
数カ月後、H菜さんの夫は人事異動で部下がひとりもいない新部署に左遷、浮気相手の女性は同じタイミングで退職したという。
「上司に何を言われたのか、あるいは浮気相手とどんなふうにもめたのかはわかりませんが、今後、リストラされるリスクもあると話しています。『すまなかった。お前とやり直したい』と夫が謝ってきたこともあり、ひとまず離婚は避けられました。ただ、専業主婦という存在をずっと軽く見てきた上に、不倫をした夫への怒りはこの先も収まることはないと思います」