無理なく稼ぐことができるおススメの働き方
契約社員やパート・アルバイトという就業の選択肢を選ぶことで、自身のストレスがない範囲で日々の生活のために無理なく稼ぐことができるのであれば、むしろ定年後においてはそういった選択は好ましいものになる。また、仮に第一線で働くまでの意欲はもてなかったとしても、自身がいまできる範囲で世の中に貢献していこうという気持ちは社会的にも応援されてしかるべきである。
役員や自営業主(雇人あり)に目を移してみると、こちらは比率がほとんど変わっていない。役員で見ると、50代前半では7.1%だったのが60代後半には7.7%とほぼ横ばいとなる。先述の通り、名の知れた大企業の役員は全国的にはごく少数であり、この就職形態に関しては自営も含めて小さくビジネスをしている人が大半である。
こうした人は長く働き続ける傾向があるため全体に占める割合もほとんど変わらない。逆に言えば、50代以降に起業をしてこうしたカテゴリーに新規参入する人が少ないということも、この結果から推察される。もちろん、例外はいくらでもあるが、全体としては少数派の事例であるということだ。
「定年後フリーランス」は意外と多い
さらに、フリーランスは実は定年後の現実的な働き方の一つの形態である。ここでは、自営(雇人なし)を広くフリーランスとみなすと、フリーランスの働き方は50代前半では6.4%と少数派であったが、50代後半で7.4%、60代前半で8.4%、60代後半で10.9%まで増える。そして、70代前半では就業者のうちフリーランスの人は約2割で、最も多い働き方になる。
フリーランスというと自由に働けるメリットばかりが着目されるが、相応にリスクの高い働き方である。まず、報酬水準が低く不安定である。会社員のように安定して生活するに十分な報酬を得られる人はフリーランスで働く人のごくわずかである。
そして何より社会保険の問題が大きい。日頃意識していない人も多いかもしれないが、医療保険や年金保険などの社会保険に企業を通じて加入できるということは、企業で働く大きなメリットである。
自営であれば医療保険は国民健康保険などになるが、国民健康保険の保険料負担は、事業主負担がない分高くなる。全国市町村の平均保険料水準を調べたデータによると、年収500万円であれば年43万6000円、年収700万円であれば年62万6000円が国保だけで持っていかれてしまう。