日本からランクインしたのは東京だけではない。2位には「近代建築とナイトライフ、たっぷりのストリートフードで知られる」大阪、3位に「日本で最もクリエイティブな街」だと評された京都がランクインし、上位3位を日本が独占した。

東京から箱根・飛騨高山・京都を経て大阪へ抜けるいわゆる「ゴールデンルート」が海外客の人気を集めているが、その魅力が如実に反映されたランキングになっている。

ちなみに4位以下は順に、都市国家シンガポール、カラフルな街並みが美しいメキシコのサン・ミゲル・デ・アジェンデの街、東西文化が混じりあうトルコのイスタンブールとなった。

渡航禁止にもかかわらず、日本がトップに

都市別のみならず、日本という国全体の観光魅力度も高く評価されている。スイスに拠点を構える国際機関の世界経済フォーラムが発表する「旅行&観光開発指数2021」では、世界117の国と地域中、日本が1位となっている。

着物を着て浅草を歩く外国人観光客
写真=iStock.com/iam555man
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平たくいえばこのランキングは、旅行先や観光地としての競争力と、その持続可能性を数値化したものだ。観光を取り巻く社会環境、政策、インフラ、観光資源、そしてその持続可能性を評価し、総合点を算出している。

ニュージーランドのニュースサイト「スタッフ」は、「渡航禁止にもかかわらず、日本が観光ランキングでトップに」と報じている。航空をはじめとする交通インフラの整備や、豊かな文化などでスコアを上げたと記事は分析している。

2位以下の国には、アメリカ、スペイン、フランス、ドイツなど欧米諸国が続く。アジアからのランクインは首位日本と9位のシンガポールのみとなっており、この2カ国がまたも強い存在感を示している。

雪をみたい、桜をみたい…シンガポールの若者

そのシンガポールにおいても、行きたい旅行先(複数回答)に国民の半数近くが日本を挙げている。CNBCが8月に公開した記事によると、英調査会社のYouGov社が行った調査において、シンガポールの49%の人々が次の海外の休暇先として日本を挙げたという。

16歳から24歳の若い層に限ると、この数字は実に68%にまで跳ね上がる。シンガポールの若者の3人に2人が日本への旅行に興味を示していることになる。

東京に拠点を構えるシンガポール旅行会社の社長はCNBCに対し、常夏のシンガポールに住む人々にとって、とくに季節の変化が魅力になっていると説明している。雪景色の冬、そして桜の咲き誇る春がとくに人気だという。

安心して過ごせる治安のよい国という評判

日本といえば、安心して過ごせる治安のよい国という評判を国際的に得ている。コロナ禍においてはさらに、病気リスクを含めた広義の安全性という意味で、日本を含むアジアの国々が評判を上げているようだ。米CNBCは米旅行保険会社がまとめた2022年版「国別安全度」ランキングにおいて、日本が4位に選ばれたと報じている。

ランキングはアメリカ人への意識調査を集計したものだ。犯罪、テロ、性犯罪、人種差別など各面での安全性を尋ね、総合点によりランクづけしている。2018年調査で10位だった日本は、今回までに順位を6つ上げた。

調査を実施した保険会社によると、全体の傾向としてこれまで旅行者たちは、テロと暴力事件に巻き込まれることを主に懸念してきたという。

だが2022年調査では、「自由に移動できること」「病気の心配がないこと」を重視する傾向がみられたようだ。アジアの国々が軒並み躍進しており、一方、イギリスなど感染爆発が報じられた国が人気を落とした。

「ツアー客のみ入国可能」は国境閉鎖と変わらない

「日本に行きたい」という外国人は多いが、日本側の受け入れ体制は整っていない。政府は6月から観光目的の外国人の入国受け入れを再開したが、すべての入国者にビザの取得を義務づけているほか、添乗員付きのツアーに限定している。

この「添乗員付きのツアーに限定」というのが、集客の足を引っ張っているようだ。観光庁の発表によると、観光目的で入国した外国人は6月が252人、7月が7903人にとどまった。

このため一部の海外メディアは「実質的には国境閉鎖と変わらない」と報じている。ブルームバーグは同社コラムニストの記事で、日本の旅行代理店経由でのツアー客のみを受け入れる日本の制度が「大いに嘲笑の的となっている」との手厳しい見解を掲載した。海外のソーシャルメディアでは、ガイドツアーで外貨を稼ぐ北朝鮮を思わせるとの指摘さえ出ているという。

また、「パッケージツアーに限定」との表現が誤解の種となり、海外では誤った理解が広まっているようだ。CNBCの記事は、30人前後がバスに相乗りするスタイルが想起されがちであり、これが日本への旅行意欲を下げている一因だ、と指摘している。実際には、添乗員付きであれば最小1人(と添乗員)からのツアーが認められている。

ただし、費用面での問題は残る。添乗員分の旅行・宿泊費用が旅行費用に上乗せされるため、ただでさえ航空券が高騰している現在、ツアー客の負担は大きい。