100kmを走り抜くウルトラマラソンで“日本代表”ゲット
江戸川河川敷を東京・柴又公園から茨城・五霞町まで往復100kmを走る「第10回記念大会柴又100K」を6時間16分47秒の大会新で優勝。同大会は第31回IAU100km世界選手権の選考会になっており、岡山は初のウルトラレースで“日本代表”を見事ゲットしたのだ。
「練習では最高53kmしか走っていなかったので、未知の世界でした。70kmぐらいでめっちゃきつくて、手脚がしびれてふらふらになりました。もうやめようかなと思ったんですけど、ちょっとペースを落としたら、また元気になって。それで走りきれた感じです。世界選手権を意識したわけじゃなかったんですけど、ちょうど選考が絡んでいたのはラッキーでしたね。でも世界大会の代表は信じられません。6時間40分ぐらいで走れたらいいなと思っていたので、タイムにも驚いています」
コモディイイダはニューイヤー駅伝に3年連続で出場中だが、岡山は一度もメンバーに選ばれていない。しかし、IAUワールドチャレンジ日本代表になったこともある会沢陽之介監督からは「100kmの才能がある」とポテンシャルを評価されていた。
「憧れの川内さんと会ったときに、『岡山君、すごい。素質あるね』と言われて、自分は100kmに向いているんだと思いましたね」
そして岡山は今夏、冒頭で触れた世界大会にデビューする。8月27日にベルリン・ベルナウで日の丸をつけて戦うのだ。
「今季の世界ランキング(タイム)がトップみたいなので、優勝を目指したい。普通に走ればいけるのかなと思いつつ、海外レースなので食べ物も違う。コンディションをいかに整えてスタートラインに立てるかがポイントかなと思います。今後もウルトラに挑戦したい。来年はサロマ湖100kmマラソンで世界記録(6時間9分14秒)を狙います!」
東農大の同期は箱根駅伝の予選会で敗退し、本選を走った者はいない。実業団に進んだ選手はいたが、現在も競技を続けているのは岡山だけだ。それどころか箱根駅伝古豪チームの入部を断られた男が世界選手権の金メダリスト、そして世界記録保持者になるかもしれない。
「とにかく諦めないことが大事ですよね。僕はそう実感しています。もうやめようかなと思ったときに結果が出たりしましたから。陸上部に入れなくて挫折しました。それでも好きで継続していけば自分の想像を超える結果や道が開けてくるんです」
人生には諦めの悪い男だからこそ、つかめる“果実”があるようだ。