台湾人じゃないですけど「外国人」です

8月7日朝8時前。集合場所である東西線妙典駅付近の江戸川河川敷に向かうと、青い旗を出している代表者たちが2人いた。いずれも日本語が非常に流暢な中華系の人たちで、年齢は30歳前後だろう。海に近いため、空気はうっすらと潮の匂いがした。

川辺では40人ほどの人たちが作業している。全体の半分くらいは、青い旗を出していた代表者たちと似た雰囲気を感じる20~30代の中華系の若い男女、あと10人くらいはもっと「大陸の中国人っぽい」年配の男女や、南アジア系など他の国の外国人、残る10人くらいは日本人で、地域の市民団体「妙典河川敷の環境を守る会」の関係者らのようだ。

「よお、あんたらどこの国の人だ? 台湾か?」
「あ……。台湾じゃないですけど。えーと、私たちは外国人です」

河川敷を通りがかった地元のおじさんに尋ねられ、「20~30代中華系」の若者たちが答えにならない返事をしている。ただ、おじさんが「台湾」だと勘違いしたのも理解はできた。彼らは仲間内では中国語を話しているのだが、全体的に雰囲気がソフトで、中国大陸出身の中国人にときに見られる自信ありげ(悪く言えば傍若無人)な雰囲気が、ほとんど感じられないのだ。

「クソみたいな体制」を支持する中国人は「救いがたい」

「あ、どもども。ツイッターをフォローしてます」

そして、彼らは私と面識がないはずなのに、親近感を示してくる人がいた。どうやら、私がこれまでプレジデント・オンラインに寄稿した大翻訳運動おっぱい肉まん作戦の記事を読んでいたためらしい。代表者の1人である29歳の男性は話す。

「今回の活動を呼びかけたのは、ツイッターやLINEの(中国共産党に批判的な)話題でつながっているグループです。でも、活動それ自体で政治的な主張をアピールしようとは思っていないです。参加者には知り合いに誘われて来た普通の人もいますし」

地元のおじさんたち(日本人)も参加している。
筆者撮影
地元のおじさんたち(日本人)も参加している。

どうやら活動の中心は、中国の現体制に反発するオタク系中国人ネットユーザーのグループのひとつらしい。もうすこし詳しく聞くと、中国のネット民のなかでも、私が以前の記事で書いた「浪人」(Chonglan)と近いマインドを持つ人々のようだ。

事実、他のメンバー2人に話しかけてみると、「清掃活動とは無関係な個人の意見」と断った上で、非常に流暢な日本語で話し出した。

「自分が中国人でいたくないんですよ。あんなひどい国の国民でいるくらいなら、無国籍の外国人でいたいです。大戦当時にナチス体制を嫌って海外にいた反ナチのドイツ人みたいな感じです」

「日本みたいな民主主義の国の人たちは『中国政府と中国人は別だから、中国人とは仲良く』とか言いますよね。僕らはそう思わないです。ああいうクソみたいな体制に反抗しないで、むしろ喜んで選んで支持している時点で、そもそも中国人自体が根本的に救いがたい連中だと」