スタッフが燃える“逆転の発想”とは
ぶすっとした表情で応対するコンビニの店員に出くわすたびに、アルバイトスタッフ(以下、スタッフと略)をモチベートするのは難しいのだろうなと思う。
FCチェーンの難題の一つは、スタッフのロイヤルティーを高めること。多くのFC本部は詳細な接客マニュアル、作業マニュアルを作り、それを徹底させることでスタッフの意識を高めようとする。
だが、これとはまったく逆の発想でスタッフをモチベートすることに成功しているFCチェーンがある。ご存じ、TSUTAYAである。
2009年3月12日に開催された、2回目のTSC(ツタヤ・スタッフ・カンファレンス)で準グランプリに輝いた那覇新都心店(沖縄県)の例を見ながら、TSUTAYAの“逆転の発想”を解き明かしていくことにしよう。
那覇新都心店の店長、具志孝幸(33歳)が一回目のTSCにエントリーを決意したのは2007年の秋だった。
TSCとは、QSC(品質、サービス、クレンリネス)、CS(顧客満足)、売り上げ・収益率、チーム・ビルディングにおいて目覚ましい成果をあげた店舗が、独自の取り組みを発表する一大イベントだ。
現在、TSUTAYAのFCは全国に約1400店舗あるが、2回目には1000店舗以上がエントリーした。最終的な発表の場はパシフィコ横浜の国立大ホール。この大舞台に立てるのは全国でわずかに5店舗だけである。具志が言う。
「TSCはスタッフさんのためのイベントです。ほかの優れた店舗さんの取り組みを学んで、自分の店舗に持ち帰ってもらうのが趣旨。うちもいろいろな取り組みをやっていたので、それを全国のスタッフさんに知ってほしいと思ったのです」
那覇新都心店は530坪もあり、県内最大規模。具志を含めた7名の社員と55名のスタッフが、この大型店舗を切り盛りする。スタッフの働きぶりが店の命と言っても過言ではない。だが……。
「エントリーしたものの、盛り上がったのは自分1人でみんなついてきてくれません。最初は温度差がありましたね」