具志は売り上げアップを目標に据えてスタッフに発破をかけたが、エントリーから1カ月経っても売り上げは伸びず、ゆき詰まりを感じた具志は、社員6名を集めて、思いを打ち明けることにした。

「それまではトップダウンでやっていたのですが、うちの店の取り組みを全国に紹介したい、一緒にやってほしいんだと正直に気持ちを伝えたら、社員が率先して動いてくれるようになりました」

6名の社員が分担してスタッフ全員と個人面談を行って具志の思いを伝えると、その日を境に、店舗全体でTSCに取り組もうという雰囲気が盛り上がった。エントリーが9月。ミステリー・ショッパーによるQSCサーベイ(覆面調査)が12~1月の冬商戦の期間。那覇新都心店は過去最高の売り上げを記録して、見事、最終の5店舗に残ることができた。

しかし、惜しくもグランプリ、準グランプリには手が届かず、涙を呑む。敗因は、QSCの達成率が低かった(79.8%)点にあった。売り上げアップに注力するあまり、店舗づくり、接客、店内清掃などが疎かになっていたのだ。

具志は第2回のTSCでのリベンジを誓ったが、今度はスタッフの反応がまったく違った。パシフィコ横浜の舞台を踏んだスタッフたちを中心に、次回はぜひグランプリを取ろうというムードがスタッフ全員に漲っていたのだ。

「やはり、社員、スタッフという壁を取り払って、みんなで一緒にやろうと伝えたのがよかったのだと思います」