人権団体の「ミャンマー・ウィットネス」は7月29日、ロシア製攻撃機の「Yak-130」が民間人の居住地域を攻撃しているとする調査報告書を公開した。同機は練習機・攻撃機として用いられる複座式ジェット機だ。
報告書は過去2年間にミャンマーで撮影された画像と映像を分析し、国軍が保有する機体数や民間への破壊行為などを精査している。ウクライナ情勢の分析でも注目を集めている、オープンソース・インテリジェンス(OSINT)の手法だ。衛星画像や市民が撮影しソーシャルメディアで共有したデータなど、公開されているデータから新たな情報を読み解く。
ある映像ではミャンマー国軍が、無誘導のロケット弾と23ミリのキャノン砲を放つ様子が確認され、同人権団体が場所を解析したところ、タイと国境を接する南東部ミャワディの近くの民間人居住地域であったという。この地域には自治権を求める少数民族の武装グループが存在し、クーデター後は反軍事政権のレジスタンスに軍事訓練を行うなどして支援をしていた。
過剰な戦力で、見境のない攻撃…
民間人への容赦ない攻撃は、国際的批判を招いている。ドイツ国営放送局のドイチェ・ヴェレは、「ミャンマー、ロシア製攻撃機を民間地域で使用し非難される」と報じた。
レジスタンス側も武装してはいるものの、過剰な戦闘力を投入しているとの批判がある。ミャンマー・ウィットネスは報告書を通じ、「高度な攻撃機の見境ない使用」は、レジスタンスによる攻撃と「明確な相違がある」と指摘している。
村を空から狙えるロシアの戦闘機は、ミャンマー国軍に強い優位性を与えている。
カタールのアルジャジーラは、レジスタンスが「多くのアナリストを驚かせてきた」ほど健闘している一方、ロシアが売る軍用機が国軍の制空優位を支えていると指摘している。
ミャンマー・ウィットネスはまた、非公表となっているYak-130のおおよその運用数を突き止めた。目撃者によって撮影された映像の機体番号を分析しデータベースを作成したところ、合計20機前後のYak-130を運用していることが判明したという。報告書は、「これによりほぼ間違いなく、ミャンマー空軍はこれまで想定されていたよりも多くのYak-130を運用していると推定される」と述べている。
2021年12月にロシアは、6機の軍用ジェット機をミャンマーに提供している。ドイチェ・ヴェレは、「これは国連総会が2021年6月に採択した、ミャンマーへの武器流入を阻止するよう加盟国に要請する内容の決議に反するものである」と述べ、武器供与を続けるロシア側の姿勢を非難している。