自国民を虐殺するミャンマー国軍の異常さ

軍事政権による独裁が続くミャンマーでは、国軍が自国民を虐殺するという信じられない事態が続いている。

タイ・バンコクのミャンマー大使館前で行われた集会で、ミャンマー民主化の象徴であるアウンサンスーチーの大きな画像の横で、3本指の敬礼をするデモ参加者(2022年7月26日撮影)。
写真=EPA/時事通信フォト
タイ・バンコクのミャンマー大使館前で行われた集会で、ミャンマー民主化の象徴であるアウンサンスーチーの大きな画像の横で、3本指の敬礼をするデモ参加者(2022年7月26日撮影)。

米議会の出資により設立された「ラジオ・フリー・アジア」は7月、ミャンマー国軍が村に火を放ち、500軒以上の民家を焼き払ったと報じた。少なくとも10人が犠牲になったという。犠牲者は数千人にのぼっており、米ワシントン・ポスト紙は国連のデータを基に、軍事政権がこれまでに2000人以上を殺害、1万4000人以上を不当に逮捕してきたと報じている。

旧称ビルマでも知られるミャンマーは、インドの東方、中国の南方に位置する、人口5400万人ほどの国家だ。長年横暴を続けてきた軍事政権に対抗すべく、1988年には国民民主連盟(NLD)が組織された。指導者のアウンサンスーチー氏に導かれ、2015年の選挙で大勝を収めて晴れて与党となった。

民主化の道のりが開かれたかにみえたが、2021年2月になると軍部によるクーデターが発生。ミャンマー国軍は早朝の奇襲でアウンサンスーチー氏と党幹部らの身柄を確保し、再び実権を握った。NDLによる民主政権は、わずか6年で転覆させられてしまった。

以来、多くの市民が非暴力で抗議の意思を示す手段として、市民不服従運動に参加してきた。職場や公務を放棄し、軍部に反意を示す社会運動だ。また、これら非暴力のデモに限界を感じた一部の国民は、少数民族の武装組織と共同し、国民防衛隊と呼ばれるレジスタンスを立ち上げている。

ロシア製攻撃機で権力を死守

これに対し軍事政権は、国民の弾圧を強化している。

たとえばレジスタンスの拠点と目される村が見つかれば、攻撃機で爆撃し、焼き払ってしまう。この際投入されているのが、ミャンマー国軍が以前から好んで輸入しているロシア製攻撃機だ。