人を餌と認識すれば躊躇せず食べる

過去の死亡事故でも、「十和利山熊襲撃事件」の第1、第2事故と似た例がある。

「46年5月17日、山形県南置賜郡三沢村の山林でワラビ採り中の男性(65)が行方不明、翌日捜索隊が全身を咬まれたり引っ掻かれて死亡している遺体を発見、そばに子熊2頭を連れた母熊がいたので撤退した。同日には別の女性2人も同所で襲われて下山していた。射殺許可は駐留米軍だったので遅れた。19日、体重15貫のオス熊を射殺して遺体を収容した」

事件は山形新聞に「夫婦熊」に襲われてと報道された。この死亡事故は消耗したメス熊に殺害され、捜索の騒動の中で母子熊は離脱、オス熊が遺体に蟠踞ばんきょして住民に夫婦として目撃されたようだ。

【図表2】過去にある県で起きた死亡・食害事故での内部資料から転写した図
出典=『人狩り熊