シングルマザーを支える場所は性風俗産業しかない

真希さんは今の仕事を続けるのはあと10年、50歳頃までだと考えている。

「子どもが大きくなれば、別に夜に働きに行ってもいいわけですから、熟女系のキャバクラとか、スナックでもいいかなと」

子育てが終わった後も、1人で生きていくつもりだ。再婚は考えていない。

「男の人はあてにならないということがわかったので、いい人がいたら、お客さんになってくれたらうれしいって感じです。結婚とかいいからって。1回、失敗しましたから、希望は持てないですね」

夜のビジネスに不安を感じる女性のイメージ
写真=iStock.com/kazuma seki
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これまで取材してきたシングルマザーと違い、子育て後の真希さんに「貧困」はあてはまらない。国民年金をきちんと払っているから、年金は入るものの、国民年金だけでの暮らしは難しい。だからこその老後のための蓄えが、最終的にはどれだけの額になるかはわからないが、とりあえずはある。

結局、皮肉にも性風俗産業しか、シングルマザーを支える場所はないということなのか。

私のようなフリーライターなど、吹けば飛ぶような存在だ。それでも何とか、息子2人は、自分の将来を選択できる道に進ませることはできた。もちろん、老後、2人の世話になるつもりはない。いや、子どもが母親まで食べさせるなんて、この不況下では不可能なのだ。

こういう世界があったのか─―。自分の力だけで息子に最高の教育環境を用意し、安定した未来を保障している、1人のセックスワーカーの姿に正直、圧倒された。私など、足元にも及ばないと。淡々とした語り口、どこか頼りなげな印象も併せ持つ真希さんの生きざまは、見事であると同時に、大きな衝撃を余韻として私に残した。