彼女の1年はケータイ小説の世界そのもの

この日、いちごチェリーさんと別れた後、いつまでも、彼女のことを考えていた。

離婚という言葉が出ていた時、私はどれだけ、真剣に彼女の話を聞こうとしただろうか。お金のことだって、本人の言うように、いつでも、補てんできる時機はあったはず。彼女は、いつだって元の世界に戻れたはずだ。そもそも私が取材を申し込まなければ、ここまで、彼女の行動が加速することはなかったのではないか、ということは、何回も頭をよぎっていた。

彼女は初対面の際「少女マンガの登場人物みたいなトキメキが欲しい」と話していた。ホストたちと恋をして、自らが主人公となってその話を誰かに語って聞かせるというのは、まるで彼女が青春を過ごした90年代に大流行した携帯小説のようなストーリーではないか。

そういえば、彼女は「ケータイ小説を書きたい」と話していたこともあった。ホスト、整形、風俗……いちごチェリーさんがこの1年で駆け抜けたのは、一世を風靡したケータイ小説『Deep Love』の世界そのものだ。彼女は、自分が書くことがなかったケータイ小説を、現実のものとしたのだろうか。そして、それを否定することもなく、ただ、話を聞き続けた私も、彼女の描くストーリーを増幅させてしまったのではないだろうか――。

月8万円、ホストと同じタワマン…新たな住まい探し

再会からすぐに「家を出たいから、物件を探しているんです。月8万くらいで歌舞伎町で」と連絡が来たため、民泊サイトや口コミを駆使して、条件に合う部屋を探した。しかし、彼女にセレクトした物件を送っても、一向に返信はない。

その後「やっぱりシングルになったら、お金がかかるから、一人暮らしはやめました!」と報告がきた。……と、思いきや、1週間後には「歌舞伎町ど真ん中のタワマンでいい物件があるんです! 良人くんと同じ建物なんです」「代々木にもいい物件がありました! どちらがいいと思います?」

とLINEが来る。とりあえず、本人の了承が取れていないうちは、良人くんと同じ物件はやめといたほうがいいということだけは伝えた。その後も物件を探しているようだが、いまだに確定はしていない。