人間にあってサルにはないのは「我慢強さと計画性」
「サルがまるでヒトみたい」というエピソードを紹介しましたが、実は大きな壁がひとつあります。なんと彼ら、貯金はできないらしいのです(でも盗みは働きます)。
ここで、我々人類との力の差を示すのに使われる指標が「時間割引率」というものです。
考え方自体は難しいものではありません。要はあなたの我慢強さや計画性を言い表そうということです。簡単に言うと、この時間割引率が低いと我慢強く計画的な人だと言えます。
たとえば1年後に100万円をもらえるとして、その「現時点での価値はいくらくらいですか」ということです。ひとつ試してみましょう。
A 今日、100万円をもらう
B 1年後、110万円をもらう
「1年後の110万円」を選ぶ人、選ばない人
ここでAを選ぶ人は、時間割引率が年率10%超の人だと言えます。1年後の110万円が、今日の100万円より価値がないかのように割り引いて評価しているからです。
10%で割引くと、1年後の110万円は、110÷1.1=100万円となります。
1年待てば10万円もオマケがついてくるのですから、現在の預金金利などからすると、Bを選択したほうが得であるようにも思えます。それでもAを選ぶとすると、すぐにでもお金を使いたい、“少しせっかちな”時間割引率の高めの人だと言えるわけです。
時間割引率を考えるときのポイントは、割り引く対象が、別にお金でなくてもいい点です。
たとえば今日、ダイエットを頑張って10年後に少しだけ健康状態が良くなるとすると、みなさんはどこまで頑張れますか?
それでもコツコツ頑張れる人は時間割引率の低い人、つまり、将来の健康状態の価値が割り引かれずに現在も高い価値を持つ人と言えます。将来の健康を損なうことの価値を高く見積もっている分だけ、その人にとっては、運動というコストを今日支払ってでも、頑張るだけの価値があるわけです。