2009年の第45回衆議院議員総選挙にて、茨城1区で初当選を果たした福島伸享氏。長らく非自民の入る隙などなかった茨城1区を制することができたのはなぜなのか。政治記者である蔵前勝久氏は「福島氏は政治刷新のために、体を張って与党を批判し、命がけで戦う覚悟があるのだ」という――。

※本稿は、蔵前勝久『自民党の魔力 権力と執念のキメラ』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
※役職名は当時のものです。

国会/質問する福島氏
写真=時事通信フォト
衆院予算委員会で質問する衆院会派「有志の会」の福島伸享氏=2022年2月2日、国会内

無所属を貫き当選した福島氏の戦略

茨城1区で、自民党前職を破り、3選を果たした福島伸享のぶゆき氏は支持者らを前にこう語った。「政治の歴史に新たな1ページをひらく選挙だ」「国民が既存政党に不満を持っている。政治刷新のために、命がけで行動する」。

17年衆院選では希望の党から立候補したが、比例復活もかなわず、4年間の浪人を経験した。その間、「野党が一つになって自公と戦う状況になっていない」として、あえて無所属を貫き、「党より人物」をキャッチフレーズに自民党支持層の切り崩しに努めた。朝日新聞の出口調査によれば、1区での投票者の半数弱を占めた自民党支持層から3割近くを獲得した。福島氏の戦略が的中したといえる。

「立憲民主党は末期的」福島氏の手厳しい言葉

福島氏は「政権に対抗する大きなまとまりを作る起爆剤、接着剤の役割を果たしたい」として、当選後も無所属のままだ。いずれも小選挙区から当選した旧民主党議員の経験がある無所属5人で、会派「有志の会」を立ち上げた。

福島氏の言葉はかなり強烈だ。特に「批判ばかり」との批判を恐れて腰が定まらない立憲民主党に手厳しい。22年2月15日のブログにこう記した。

「今の野党の国会対応の状況はバカバカしくて見ていられない」
「与党側は、あまりにもチョロくて笑いが止まらないだろう。とりわけ、ちょっとした報道と、それに対するネットの反応で右往左往する立憲民主党は、末期的な状態であると言わざるを得ない。国会対応に対する腰の据わった戦略がないから、こうなるのだろう。国会での闘争に向いていないのではないか。野党第一党としての議席を持っているのだから、もっとしっかりと与党と対峙たいじしてほしい」