2022年のVTIの値動きを見ると、確かに年初来20%ほど下落しています。今年から投資を始めた人は含み損を抱えているのでしょう。しかし、厚切りジェイソンさんは何も間違っていません。そもそも彼は数カ月の時間軸でこの投資を考えていたのでしょうか。彼は短期間で大きなプラスを得るためにVTIを推奨していたわけではありません。

人生100年時代の資産形成手段として、長期投資を前提にVTIにコツコツ積み立てをすることを勧めています。その間には今回のような下落相場もありながら、10年、20年、あるいはもっと長い時間軸で考えていたでしょう。

彼の薦めるVTI投資が正解かどうか、その結果が出るのははるか先のことですが、私自身もVTI投資をするなら10年以上の時間軸で考えるべきだと思います。

VTIのような「インデックス投資」の利回りは平均で年4~5%と言われています。「10年で資産を一桁増やしたい」といった人にはマッチしませんが、貯金代わりのイメージで、最低10年、できれば一生続けるくらいで良いかなと思います。

アメリカドルやユーロなどの紙幣
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サラリーマン投資家にとっての最適解

私は中小型の株式投資で資産形成をしてきました。ただ仕事で忙しいサラリーマン投資家には、米国株のインデックス投資は最適解の一つでしょう。

VTIはさまざまな業種の4000社に分散投資する金融商品だと説明しました。これらの企業は同時期に成長する企業もあれば、失速する企業もあります。ただ、市場全体で見れば日本よりアメリカが成長しやすい環境にあると思います。

日本は少子高齢化が顕著であり、市場規模は小さくなるでしょう。また、医療費や社会保険もかさみ、いずれ増税が必要になります。法人税も重くなると予想されます。企業活動をする環境として厳しくなると感じています。もちろん、個別に見ればこの中でも伸びる企業はありますが、市場全体ではネガティブにならざるを得ません。

一方、アメリカの人口は3.3億人と多く、また米国企業のサービスは世界全体をターゲットにするのが基本で、自然と市場規模も大きくなります。

VTIなどのETFを通して米国市場全体に投資すれば、日本に投資するより長期的にはより多くのリターンが見込めると言われるのはそのためです。

「思考停止」が危険なワケ

最近の米国株ブームの中で、「VTI」と同じように注目された投資信託があります。

レバレッジ型の投資信託です。特に、米国の株式指数であるナスダックに2倍の値動きをする投資信託(レバナスと呼ばれています)が注目を集めました。