国は「ジェネリック薬(後発医薬品)」の利用を積極的に勧めている。新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造・販売されるもので、有効成分は同じなのに価格が安いため、医療費抑制につながる。しかし、本当に先発薬の代わりになるのか。東京新聞の五味洋治論説委員がリポートする――。(第1回/全2回)

※本稿は、五味洋治『日本で治療薬が買えなくなる日』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

ジェネリック医薬品
写真=iStock.com/Brenda Rocha Blossom
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「一線で働いている人はほとんど信用してない」

先発と同じ成分で、安心して安く服用できるという認識が広がっているジェネリック薬。しかしジェネリックを使わないし、信用していないという医師がいるというので、知人を介して話を聞いた。今年60歳になった男性外科医で、関西の大学病院に勤務している。

——先生はがんのご専門と聞いています。

【F医師】ええ、医師の経験はもう30年以上です。胃がんと、食道がんを専門としています。患者さんの容体によっては夜中に呼び出されることもありますよ。病院内にベッドがあって、そこで寝ることもあります。医師の働き方改革から見たら、ぜんぜんダメ。うちの病院は引っかかるね、きっと。

——ジェネリック薬のいろいろな側面を伝えることができればと思って、お話を聞いていますけれども、先生はどんなご意見ですか。

【F医師】私はジェネリックに非常に批判的っていうか、まあ大きな病院でも一線で働いている人はほとんど信用してないですね。ジェネリック薬の選定については理事会サイドが決めてくるんで、あんまり文句は言えなくて。

ジェネリックはこれにしましたって言われたら分かりましたと言って使ってるんだけども、やっぱりジェネリックにパッと替えられると(患者さんも含め)みんな、嫌な顔してますね。