世界中で加熱する「不動産バブル」
このように、不動産価格が上昇し、新築マンションは庶民にとって「高嶺の花」となっているわけですが、それでも東京の不動産はまだまだ「割安」です。
日本全国の不動産の価値の総額は、バブル期には約2000兆円もありました。
それがいまや、約1000兆円に届くかどうか、という水準まで低下しています。
2012年に政権が民主党から自民党へ交代して以降、日経平均株価が上昇するに従って、不動産価格も上昇するようになりました。
ただ、世界の不動産価格に比べれば、その上昇度合はまだまだ控え目なのです。
図表2は、世界の大都市におけるハイエンドマンション価格を比較したものです。
香港やロンドンでは、2015年から2019年にかけて、ハイエンドマンション価格が大きく上昇しているのが分かります。
一方、東京のハイエンドマンション価格は、2015年と2019年を比較しても、ほぼ同じです。
また、その価格水準も、世界の大都市と比べると割安感があります。
一方で、気になるデータもあります。
都心部の中古マンション在庫が、ここに来て増加傾向を見せているのです。
図表3の通り、中古マンションの在庫数は、2021年の秋ぐらいから増加傾向にあります。
ただ、過去の水準と比べれば、まだそれほど高い水準というわけではありません。
実際、新築マンション価格が上昇を続けているわけですから、市場全体としては、まだまだ供給過剰ではないと考えられます。
市場が飽和状態となり、「バブル崩壊」が起こるのは、ずっと先だと見ていいでしょう。