「お花屋さんになるには経済学を学ぶといいね」

ドイツの親の中には娘が「お花屋さんになりたい」と言うと、「お花屋さんを経営するのはいいね。大学で経済学を勉強したら、お花屋さんが経営できるし、お花に囲まれた生活ができるよ」と話します。

これも「やりすぎ」と言えばそれまでですが、現実的な話をすると、ドイツでも日本でも「お花屋さんでパートで働く」だけでは給料が低すぎて、自立した生活はできないわけですから、ドイツの親にも一理あるわけです。

基本的にヨーロッパでは、仕事を通して自分の力で生活をできる人、かいつまんで言うと「自分で家賃を払い、生活できる人」を育てるのが親の役割だとされていますので、そこに「女の子らしさ」だとか「最終的に経済的なことは男性に頼ればよい」という考えはありません。

日本の女子大生に将来の夢を聞くと、一部に専業主婦という回答があります。これはドイツを含むヨーロッパの女子大生には見られない現象です。性別に関係なく自分の足で立つことを優先した教育で育ったためです。専業主婦はいわばその逆を行くわけですから、なりたいと考える人が少ないのです。

日本とドイツの「多様性」の違い

ところで、同じ多様性について話をしていても、日本とドイツ(ヨーロッパ)では解釈がずいぶんと違うなと感じることがあります。

コロナ禍において、日本では「女性の貧困」が問題になっています。その背景には、働く女性の多くが非正規雇用であり、安定した働き方ではないことが深く関係しています。

そういったことを考えると、私自身は、女性の生き方として専業主婦を選ぶのはリスクがあるのではないかと考えています。ところが、それを口にすると「生き方は人それぞれなのだから、専業主婦も多様な生き方の一つ」と反論されることがあります。