ゴッホより器用な画家はたくさんいるけれど
ゴッホの描いた作品を見ると、初期作品は別として、いずも特徴が見てとれる。絵の具が分厚く塗ってあり、空や星や樹木がうねうねとした曲線で描かれている。花でも風景でも自画像でも、ひと目見れば「ゴッホが描いた絵」だとわかる。
技巧派とか上手と思える絵ではない。美術の先生であればゴッホ以上に器用に絵を描く人は何万人といるだろう。だが、ゴッホの絵には不器用さと純情がある。
ゴッホは純情とひたむきな気持ちと切なさを絵のなかに表現することができた。それは大変なことではないか。好きにならずにいられない絵を描いたのがゴッホだった。詳しくは、旅の雑誌『ノジュール』(JTBパブリッシング)の連載「ゴッホを巡る旅」に書いたので、興味のある人はぜひ読んでもらいたい。
日本人がゴッホを好きな理由を考えていたら、本物を見に行きたくなった。幸い、日本には本物のゴッホの絵が20点以上もある。SOMPO美術館の『ひまわり』、国立西洋美術館の『ばら』のようにいつでも見に行ける作品も少なくない。
じゃあ、それを見に行こうじゃないか。