「シロアリ物件」がかえってお得になるケース

●シロアリ

世間一般では「シロアリ被害のある物件は買わないほうがいい」といわれますが、正確には「金額次第ではシロアリ被害のある物件も買ったほうがいい」といえます。シロアリ対策費用を引いた金額で買えるのであれば問題ありません。

シロアリは多くの場合、過去の被害の痕跡だけが残っているケースも多く、アリの侵食が現在進行形で進んでいるケースは少数派です。これは目視すればすぐにわかります。

ちなみに、シロアリを発見したら、それが過去の痕跡でも生きている場合でも、大げさに驚くようにしましょう。売主が値下げをする要因になるかもしれないからです。

なお、割引で買えたあとは、大工さんに簡単に直してもらいます。柱が食われていても、まるごと取り替えるわけではなく、柱のスカスカになった部分だけ切って上下を支えるなどの補修方法が確立しています。工事費用は数万円から数十万円で済みますので、安心してください。

駆除作業を低コストに抑える方法

大工さんの工事が終わったあとは、「防水一番」という高性能の防水塗料を吹き付けます。この塗料の成分は「水ガラス」という無機物です。木材に染み渡るように塗ると表面がコーティングされます。

この塗料が染みた木材をシロアリが食べると、栄養を吸収できずに餓死してしまいます。もともと防水が目的の塗料なのですが、副産物としてシロアリを撃退する効能も付いているわけです。

この塗料を塗るのも、大工さんにお願いしましょう。本来、塗装は大工仕事ではありませんが、「この塗料は透明なので、クオリティはまったく気にしません。ただ、塗ってくれさえすればいいです」と説明すれば、引き受けてくれるはずです。

本来であればシロアリ駆除会社、柱を直す大工さん、塗装する塗装業者が出てきて100万円程度かかるところも、作業内容を最小限に絞ることで、きちんと対策ができるにもかかわらず非常に安価で済むわけです。

なお、最近急速に勢力を拡大している「アメリカカンザイシロアリ」という西洋シロアリは、まさに恐ろしいアリなので要注意です。「日本のアリは下から、西洋のアリは上から」と言われるように、乾いた木材中のわずかな水分でも生育でき、建物下部だけでなく、乾燥している小屋組材まで食い荒らすと言われています。