そもそも、FX取引と向き合う場合に「適正なレバレッジ」とは、一体どの程度のことをいうのであろう。それはズバリ! 個々人が想定する取引期間(=個々人の取引スタイル)と主に向き合う通貨ペアの種類による。

たとえば、過去の豪ドル/円の価格推移を見ると、10日で8~10円ほど値動きすることは決して珍しくないことがわかる(図参照)。ここで、大よそ3~10日程度で決済することを基本とする投資家=スウィング・トレーダーが、証拠金40万円で5万豪ドル(1豪ドル=80円とする)の取引をすると仮定すれば、レバレッジは10倍となる。5万豪ドルということは8円程度の値動きで証拠金がパーになってしまう。つまり、スウィング・トレーダーにとってはレバレッジ10倍でも相当に無理があるということになる。まして、中長期的な取引を基本とする投資家なら、たとえレバレッジ2~3倍でも相当のリスクがあるということを自認すべきである。

もちろん、より短い期間内での取引を基本とするデイ・トレーダーや数分単位で決済するスキャルパーにあっては、ある程度高いレバレッジも許容されよう。「25倍以下ではロクに利益が出せない。泣きたい」と言う前に、より十分な証拠金を積むか、少し長い目で構える投資スタイルに変えていくことも、これからは必要であろう。

※すべて雑誌掲載当時

(坂本道浩=撮影)