バブル期→2005年にかけ「処女率が半減」の謎
一方、女性を見ると、1987年、バブル真っ最中での20~24歳女性の64%以上が処女だったのに対して、2005年には処女率36%とほぼ半減に近い状態になった変化が際立っています。
80年代後半から2005年までの間に、一体何があったのでしょう。1980年代中ごろ、バブルの好景気という日本全体を覆い尽くした熱気を反映したように、平成の恋愛至上主義と呼ばれる時代が到来しました。
クリスマスイブはカップルがデートするという文化は実はその頃に誕生したものです。高級レストランで食事を、半年前からシティホテルを予約し、男性は高価なプレゼントを贈るものというデートフォーマットを完成させたのは、雑誌『an・an』(アン・アン)だと言われています。90年代のテレビドラマは、「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「ロングバケーション」等、恋愛系ドラマが次々と大ヒットしました。
もうひとつ若者の恋愛に必須なツールがこの頃一般化しました。携帯電話です。特に親元に住む学生など若い男女にとって、親の目を気にすることなく、相手と長電話できる携帯電話は若者の行動を大きく活発化させました。
40年前と変わらないのになぜ婚姻数は減っているのか
同時に、当時は元祖SNSともいわれるケータイサイト「前略プロフィール(通称「前略プロフ」)」が流行し、出会い系や援助交際のツールとしても使われる等、2000~2005年当時は、逆に「若者の性の乱れ」が問題視されていたことも事実です。2005年頃、若者の恋愛やセックスが増えても、婚姻は増えなかったというのはなんという皮肉でしょう。
さて、ここでひとつ疑問が生まれます。40年前の若者の恋愛率も性体験率も今と変わらないのだとしたら、昨今の未婚化や婚姻減少はどういうことなのだろうか、と。
確かに、1980年代までは、日本は男女とも生涯未婚率5%未満のほぼ全員が結婚する皆婚社会でした。しかし、この皆婚社会を実現したのは、若者本人たちの意志や価値観ではなく、社会的な結婚お膳立てシステムといわれる「お見合い」によるところが大きかったからです。
出生動向基本調査における、初婚の夫婦の結婚のきっかけ推移をみると、戦前は約7割の結婚がお見合いによって成立していました。その後、徐々にお見合い結婚比率は衰退し、1965年あたりで恋愛結婚と並びます。注目していただきたいのは、1980年代後半に、お見合い結婚比率は25%まで落ち込む部分です。