営業の仕事は商品説明ではない

では、次に多くの売れない営業マンが無意識に犯してしまっている絶対にやってはいけないことの二つ目についてお話ししていきます。

二つ目は「商品説明をする」ということです。

おそらくこのことを聞いて、多くの営業マンがハッとしたのではないでしょうか。

ダメな営業マンに限って、ここぞとばかりに商品の魅力を語り、それが営業の仕事だと勘違いしてしまっています。

これから話す内容は、私の体験談になってしまいますが、おそらく多くの人が同じような体験をしているはずです。ここからは私の体験を交えてお話しさせていただきますね。

「営業マン」と「説明員」は違う

数年前に訪れた車屋さんでのエピソードです。

当時乗っていた車が古く買い替えたかったので、妻を説得する理由として3人目の子供ができるからもっと広い新しい車を買おうと伝え車屋さんに連れていきました。

妻としては、どうせ新しい車を買っても子供の送り迎えでぶつけてしまうので、新車を買うことに反対的だったのですが、3人目が生まれて車が狭くなる事を考えたら、新車を買うのもアリかも……という感じでした。

そして、お店に入るなり「3列シートの車を買いに来たのですが……」と私は受付の方に伝えました。すると担当の営業マンの方がこちらにやってきて「3列シートの車はこちらになります。」と案内をしてくれた訳です。

男性の顧客に鍵を渡す車の営業マン
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
※写真はイメージです

それから、3列シートの車をみながら、この車は最新のオーディオシステムがついていますとかトランクが広くて多くの荷物を積むことができますというような説明を営業マンから受けたわけです。結局私は、そこで車を買うことはありませんでした。

正直に言って、これは営業ではないんですね。これこそまさに「説明員」なのです。

私が車を買いに行った本音は3人目の子供が生まれるからという理由ではなかったのです。本当は「“カッコいい車”が欲しかった」。それが本音だったのです。

当時は、前職のプルデンシャルで支社長をしており、後輩たちとゴルフに行く機会も多くありました。その時に、ボロボロの車で行くのが嫌だったのです。後輩たちに「支社長ってあんなボロい車乗ってるのか」って思われたくなかったのです。だから、3人目が生まれるという口実に新車を買いに来たのです。

先ほどの説明員の方は私の本当の気持ちや思いをくみ取ることなく、ずっと3列シートの車の性能の良さばかりを説明してしまっていました。「なぜ3列シートなんですか?」「今乗っている車の何が不満なんですか?」という質問を私に一切してこなかったんですね。

その質問を私にしていれば、「実は……後輩とゴルフに行く時のためにカッコいい車が欲しいんだよね。」という感じで、本音を話していたでしょう。それを聞けば、3列シートという条件に縛られず、「こういう車もおすすめですよ」「この車であれば家族5人でもゆったり乗れますし、ゴルフバッグもしっかり納まりますよ」みたいな感じで他の車も提案できたはずです。

そういう提案をされれば、「ぜひその車を見せてくれ」となり、車の購入を決意していたはずです。

つまり、何が言いたいかというと、説明員はお客さまの本音つまり裏に隠れた欲求を引き出すことができないのです。その状態に陥ってしまっている営業マンが非常に多いのです。

商品の説明をする以前に、なぜその商品を欲しいと思っているのか、何を目的としてお客さまは自分の目の前にいるのか。この辺りを考えてお客さまと会話できるようになると“本音”を引き出せるようになります。

営業マンは説明をするだけの「説明員」ではありません。もしこれを読んで自分が説明員になってしまっているようでしたら、すぐに改善すると良いでしょう。