無用な批判を避けるためにもロードマップの明示を
「天然ガス危機」が深刻化する現在の日本では、短・中期的に石炭火力への依存を高めるのはやむをえない。しかし、長期的にはロードマップを示し、いつまでにどの程度石炭にアンモニアを混焼し、最終的には何年にアンモニア専焼火力に切り替えるか(つまり、石炭火力を廃止するか)ということもはっきりさせるべきである。
政府は、石炭火力のアンモニア転換に関するロードマップを一応発表しているが、2030年までに20%混焼を開始するとしているだけで、きわめて不十分な内容である。
一般的に言って、問題があるAという手段をやむをえない事情で使う場合は、必ず、Aから脱却する道筋をもまた、併せて提示しなければならない。つまり、ウクライナ危機を受けて石炭火力がある程度「復活」し、それへの依存度が増大するということは、最終的に石炭火力をたたむ道筋を示すはっきりしたロードマップを明示する必要性がいっそう高まったことも意味するのである。
明確なロードマップがないと、日本は、石炭火力を延命させる口実としてアンモニアを持ち出しているという、国際的な批判を招きかねない。無用な誤解を生まないためにも、石炭火力のアンモニア転換のきちんとしたロードマップをただちに明らかにすることが求められている。