携帯3社の収益を直撃した「官製値下げ」

携帯電話の値下げ競争が勃発して1年余り。利用者が値下げメリットを享受したのも束の間、早くも「値上げ」が表面化した。

楽天モバイルの新プランを発表する楽天の三木谷浩史会長兼社長=2021年1月29日、東京都港区
写真=時事通信フォト
楽天モバイルの新プランを発表する楽天の三木谷浩史会長兼社長=2021年1月29日、東京都港区

「安さ」がウリの楽天モバイルが、顧客獲得の目玉にしてきた「データ通信の利用量が1ギガバイト(GB)以下なら無料」という「月額0円」の超お得プランを6月いっぱいで廃止し、1078円(税込み、以下同)を徴収することにしたのだ。巨額の赤字が続く中、収益が見込めない「0円プラン」を継続できなくなったという。

菅義偉・前政権の肝いり政策だった携帯電話料金の引き下げは、利用者には歓迎されたが、通信会社の収益を直撃、2022年3月期の通期決算では軒並み、値下げの影響が顕著に表れた。

楽天モバイルの「値上げ」は、行き過ぎた値下げ競争の反動であり、「官製値下げ」はあっさりと幕を閉じた。それは「官製値下げ」のひずみが露見したということでもある。

電気や鉄道の公共料金から食料品や日用品に至るまで値上げラッシュが続く中、通信業界には携帯電話だけが値下げを強いられている状況にストレスがたまっており、「値上げ」を模索する動きが広がりそうだ。

楽天モバイルの値上げは、「携帯電話も値上げ」の序章にすぎない。

楽天・三木谷会長「0円でずっと使われても困っちゃう」

「0円でずっと使われても困っちゃうのがぶっちゃけな話。すごく正直に言って」

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、5月13日の決算説明会で「0円プラン」廃止の本音をストレートに吐露した。