家族を見送ったあと、介護廃人のようになってしまう

そして介護を生きがいにしてはいけないもっとも大きな理由は、介護していた家族が亡くなったあと、その介護者が一気に衰えてしまうという点です。60代後半や70代まで介護に明け暮れていると、介護していた家族を見送ったあと、今度、自分が何もすることがなくなってしまうのです。

老人男性が座っている深刻ベッド
写真=iStock.com/Dean Mitchell
※写真はイメージです

70代のうちから仕事をしていたり、ボランティアなどの社会参加や、趣味の活動などをしていた人は、80代でもそれを続けている場合が多いものです。

しかし、いままで介護だけで、何もやってこなかった人が、70代や80代で介護が終わって時間ができたから何かを始めようとしても、それはかなり難しいことです。

結局、家族を見送ったあとは、何もせず毎日過ごすようになり、介護廃人のようになって老いてしまうということがよくあるのです。

そのようなことにならないためにも、70歳前後の人が家族の介護に直面したら、介護保険制度なども駆使して、いかに楽をするかという視点でヘルパーさんの手などを借りてください。場合によっては、施設などに入所してもらうことも考えましょう。そのような決断をしても、なんら罪の意識を感じる必要はありません。そのほうが、介護する人、される人のお互いのためでもあります。

介護する人もいきいきとした70代を送れますし、時間が自由になった分、頻繁に要介護の人のもとへ会いに行けばいいのです。

家族同士で介護していると、疲労から、介護者が虐待行為をするようなことも起こりがちですが、第三者の手を借りて自身の負担を抑えていれば、そのようなことも防げます。特に認知症の人を相手にした介護だと、意思疎通がはかれず、つい感情的になってしまうことも起こりがちですが、他人による介護であれば、いがみ合うこともないでしょう。

ところが日本においては、いまだに封建的なところが残っていて、家族の介護は家族ですることが美徳のように思われています。そのような風潮が、介護者たちを追い詰めている現状があります。早くそういった価値観から抜け出さないと、今後、日本の超高齢社会は乗り切れないところまで来ています。

介護を生きがいにしないということは、70代の人が、この先80代、90代も元気に生きていくためにはとても大事なポイントです。

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