プーチンが目指すのは「大いなるロシア」の復活

文中では、とにかくロシアとベラルーシにウクライナを合わせた、“大いなるロシアの復活”が謳われている。これは当然、プーチンの考えを代弁して褒め称えるための記事だが、それを読むと、プーチンが2021年12月に言い出した「NATO拡大を防ぐ」といった要求も実は些細なことだったことがわかる。

黒井文太郎『プーチンの正体』(宝島社新書)
黒井文太郎『プーチンの正体』(宝島社新書)

プーチンは「復活する大いなるロシア」がこれからは「欧米」と対抗するというのである。これはそのまま「大いなるロシア」を「ドイツ」と置き換えれば、まさにナチスそのものだろう。

このように「やり口」が酷似している二人だが、共通しているのは、悪い意味で「戦略家」だということだ。そして、「今ならやれる」と判断したことに躊躇はない。

さらに問題なのは、プーチンもヒトラーと同じく、きわめて悪い意味で「信念の人」だということである。つまり、自分の思うとおりに事態が進まなかったとしても、途中で「降りる」ということが期待できないのだ。

常にナチスを敵視し、ウクライナ政府を「ネオナチ」と罵ってきたプーチン。しかしその独裁者然とした姿に、ヒトラーを見ずにはいられない。

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