シングルマザーにつきまとうのはお金の問題です。老後の生活費だけを気にしていると、思わぬ落とし穴も。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「まずは将来どんな生活になるかをシミュレーションしてみるのが問題解決の糸口になります」といいます――。

※本稿は、長尾義弘『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)の一部を加筆再編集したものです。

ひとり親家庭の概念
写真=iStock.com/CalypsoArt
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シングルマザーの「お金」をシミュレーション

シングルマザーの心配事はつきません。どんどん増えていく子どもの教育費の問題、そればかりではありません。このまま一人の生活が続くと予想されると、一人暮らしの老後のお金、介護の問題など、さまざまな困りごとが待ち構えています。

心配事を多く抱えているシングルマザーも多いようですが、特にお金の問題というのはどこから手をつけていいのかわからないものです。まずは、現状ではどんな生活になるのかをシミュレーションをしてみると、問題解決の糸口になるかも知れません。

どのくらい必要なのかがわかれば、対策も立てやすいでしょう。わかりやすくするために、例を出してみます。

シングルマザーが優先すべきなのは「大学の教育費への備え」

B子さん(41歳)は正社員で働くシングルマザー。子どもは10歳です。年収は420万円(月額35万円)として、シミュレーションをしてみます。B子さんの現状と将来の対策を考えてみましょう。

B子さんにとって、まず優先すべきは子どもの教育費です。教育費でもっともお金がかかるのは、子どもが大学に進学するころです。つまり、数年後にはまとまったお金が必要になってきます。老後のお金が必要になるのは、約25年先になります。

では、子どもの教育費というのは、いったいどのくらい準備しておけばいいのでしょうか?

日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」によると、大学の入学費用として約81万円、そして毎年150万円の教育費がかかるので、入学から4年間の総額として、約700万円(私立文系)かかります。国立大学ならばぐっと安くなりますが、もし私立理系学部に入学した場合は、800万円以上です。さらに留学することになったり、あるいは留年してしまったりすることになるとさらにお金が必要になります。

現在、子どもが10歳なので、7〜8年後には大学の受験費用、入学費用などまとまったお金が必要になってきます(浪人しなければ)。

教育費の準備まで残された時間は、わずか8年です。ある程度のまとまったお金を準備する計画を立てましょう。