若手時代は仕事に専念することで資産形成の「武器」が手に入る

ただ一方で、ある種の危うさも感じます。ネットで検索すればすぐ答えが見つかる世界で生きてきているせいでしょうか、物事に対して、すぐに一番確からしい答えに直行できると信じ込んでいる印象があります。

つまり、「急がば回れ」が通じにくい。だから収入を増やしたいと思って、安易に副業に手を出したり、FXをやったり、安価な区分マンションに投資したりする人が後を絶たないのかもしれません。

やはり若手時代は、そんな二兎を追うよりも会社の仕事という一兎に専念したほうがいいでしょう。なぜなら、資産形成のための「武器」が得られるからです。会社で身につけた仕事のやり方、職場での信用、その間の貯蓄など、それらすべてが不動産投資の武器になります。

まずは最初の3年間できちんと会社員としての足場をつくって、次の3年間で不動産投資を着実にスタートさせることをおすすめします。

私が投資を始めたのは38歳ですから、その意味では10年ほど遅れたわけです。でも結果的には、会社員として十分に脂が乗っていたことでプラスの面もありました。もちろん忙しかったけれども、自分の仕事時間をある程度コントロールできる立場だったので、不動産投資の勉強などの時間を確保しやすかったのです。

スケジュール管理のコツはプライベートの予定を先に入れる

私は不動産投資を始める前、10年間、ボランティアで出身高校のボート部のコーチをしていました。先に述べたとおり、新入社員から3年間、土日も関係なく、深夜まで猛烈に働きましたが、4年目からボート部のコーチを始めたわけです。その活動時間を確保するために、色分けのスケジュール管理をして「余白」をつくっていました。

私の時短に対する考え方は、とてもシンプルです。要は、最小化・廃止できることを明確にすることで、土日、深夜も使ってやっていたことをぎゅーっと平日の勤務時間内に凝縮しただけなのです。

時間管理の重要なポイントは「いかに平日のうちに仕事をやり切るか」ということです。つまり、スケジュールを決める最大のコツは、先にプライベートの予定を入れてしまうこと。そうすると、予定どおりにプライベートを過ごすために、仕事を勤務時間内にきちっとやり切る意識ができてきます。

会社の仕事はもちろん、ボート部の活動でも、チームをつくって何か事をなすということは変わりません。私の場合、その経験を不動産投資に、わりとそのまま置き換えたという感じです。

たとえば、会社の同僚の中にもボート部のOBがいるのですが、余白の時間で一緒に練習メニューを考えたり選手の相手をしたりしていました。その時間を不動産投資の時間に置き換えただけで、不動産投資のために何か特別に余白をつくったわけではないし、若い頃からやっていたことなのです。

なので、余白の時間をボランティアではなく、入社4年目から不動産投資に充てれば、本業をおろそかにすることなく、私よりも早く資産を形成できると思います。