成長率の低下傾向は一段と鮮明化する恐れ
それに加えて、金融市場への介入も強まる可能性が高い。株価下落を食い止めるための一部銘柄の売買停止や、“国家隊”と呼ばれる機関投資家による株式買い支えも増えるだろう。5.5%前後の経済成長率を達成して中国の最高意思決定権者としての長期の地位を確立するために、習政権はなりふり構わぬ姿勢で経済と金融市場への統制を強めるだろう。
しかし、そうした取り組みが中国経済の実力を高めることにつながるとは考えづらい。近年の経済運営を確認すると、習政権は人々の自由かつ多様な発想を認め、成長期待の高い分野に生産要素が再配分される環境を目指すことが難しいように見える。急速な景況感悪化にもかかわらずゼロコロナ政策が続けられていることは、習政権が、党の権能が市場原理に勝るとの考えを強めていることを示唆する。
他方で、不良債権問題は深刻化し、公共事業を増やせば増やすほど、経済全体で資本の効率性は低下するだろう。ゼロコロナ政策によって中国経済の成長率の低下傾向は一段と鮮明化する展開が懸念される。