ダメな登場人物がもたらす味わい深さ

8位「家族ゲーム」(TBS・1983年)不真面目な大人が問題児を救う、ある種の副効用

三流大学で留年続きのちょい悪な大学生・吉本剛(長渕剛)が、問題児の家庭教師を引き受けて、勉強だけでなく人生の渡り方と偏らない価値観を教えていく物語。

1984年には設定を変えた「家族ゲームII」も放送。両作に出演したのが松田洋治、三好圭一、そして母親役の白川由美。80年代はいい高校・いい大学に入ることが最優先の時代。

いじめや受験戦争の苛烈かれつさを描く作品も多いが、これはちょっとダメな大人がもたらす副効用、「こうあるべきという枠からの脱却」だった。

7位「西遊記」(日テレ・1978年)ダメな妖怪たちを通して人間の業の深さも描き出す

異国情緒あふれる世界観と特殊メークの面白さ、毎回登場する妖怪たちの人間臭さに夢中になった。

孫悟空(堺正章)、三蔵法師(夏目雅子)、猪八戒(西田敏行)、沙悟浄(岸部シロー)が旅をしながら、悪者(時に妖怪、時に人間)を退治していく。お供する3匹は正義のヒーローと思いきや、頻繁にけんかしたり、裏切ったり、女にだまされたりする。

人情ばなしではあるが、ただの勧善懲悪では終わらないところが魅力。思い込みや刷り込みを打ち砕く展開が絶妙な作品だった。

6位「パパはニュースキャスター」(TBS・1987年)子供が嫌いと公言する大人の存在価値

西尾麻里(現・西尾まり)・大塚ちか子・鈴木美恵子という手だれの子役に共感をもって見ていた。

主演の田村正和はニュースキャスター・鏡竜太郎役。「娘ができたら“愛”と書いて“めぐみ”と名付けよう」と酔って女性を口説くクセがある。

子供が苦手で独身貴族を謳歌おうかしていたが、突如娘と名乗る3人の愛が押しかけてくるというコメディだ。「子供が嫌い」と公言する田村の役どころには、ある種の美学を感じた。生意気な小学生3人に翻弄ほんろうされる勝ち組男性は、見ものだった。

人間の業と欲深さを描き出す

5位「金曜日の妻たちへ」(TBS・1983年)不倫が罰せられない時代の大人の寛容

中原宏(古谷一行)・久子(いしだあゆみ)、村越隆正(竜雷太)・英子(小川知子)、田村東彦(泉谷しげる)・真弓(佐藤友美)の夫婦3組はご近所さんで仲良し。

物語の始まりは村越の浮気から。若いモデルの沢玲子(石田えり)と懇ろになる。悪いのは浮気した夫のはずだが、話はそう単純ではない。

浮気された英子が仲間内で孤立、中原が支えるうちに関係をもってしまう(めっちゃ内輪でやらかすんだよ!)。不倫をした人間が社会的制裁を受ける時代ではなく、寛容だった頃の話だ。

妻・母・女の表情を巧みに演じ分けた女優陣のおかげで、大人はこういう顔でうそをつくのだと学んだ。不倫ドラマの代表にあげられるが、ひとり身になった女の自立と生き直しを描く作品でもあった。