指示待ちパパが出来上がるまで
なんでこうなってしまうのか……、私のひねり出した結論は「育児に関する意思決定が妻に偏っているため」でした。うちの夫婦は、家事育児にかかわるタスクは平等に分担しています。ママにできてパパにできないのは、授乳くらいのもの。
しかし、この時期の育児に関する意思決定では、自然と妻の意思を優先するようになっていました。それは、母乳育児をしているかぎり、育児スケジュールが妻の肉体と直結してくるからです。
うちは母乳とミルクの混合栄養(母乳とミルクの両方を与えること)でしたが、妻はできる限り母乳の比率を増やしたいと考えていました。仮にですが、ここで私が「いやいや! 母乳は手間がかかるから効率を重視してミルクだけで育てようぜ!」と主張するのは、どうなのか……?
妻は娘の成長だけでなく、自身の身体の状態も加味して意思決定をしています。その時のおっぱいの生産量とか、乳首の状態とか(吸われ続けると皮がむけたり血が出たりします)、乳腺炎(乳腺が詰まっておっぱいが岩状態になったりヤバイ高熱が出たりします)とか、おっぱいには繊細な問題がたくさんあるからです(知らなんだ)。だから、私としては自分で調査したり考えたりしたことよりも、当事者である妻の意思を尊重しようと思いました。
すると、ミルクをあげる量やタイミングも、睡眠時間も、母乳を軸にして決まっていきます。ミルクをあげすぎるとおっぱいを飲まなくなってしまい、逆に少なすぎると体重が増えません。そして、授乳の時間が空いてしまうと、おっぱいが詰まって乳腺炎が悪化します。
私は妻の指示を待つことが増え、そのスタンスが身についてしまい、育児上の色々なシーンで「コマンド:待ち」を発動するようになりました。これが続くとどうなるか? そう、立派な「指示待ちマン」の出来上がり! 会社でいえば、一番ダメなタイプの奴です。
“指示待ちマインド”が妻の地雷を踏み抜く元凶
そして、最初はよかれと思って妻の意思を尊重していたのに、気がついた時には、育児に関する勉強や調査はほとんど妻がやるようになっていました。
そうした調査に基づいた妻の意思決定を、私は当然尊重するわけですが、この時点で妻と私の間には意識と知識に大きなギャップが出来上がっています。そしてこのギャップは私の行動となって表れ、妻の地雷を踏み抜くのです。
「なんでそういうことするの? ちょっと考えればわかるでしょ!」
でも、この時にはもう“ちょっと”考えてもわからなくなってしまっているのです……(涙)。この罠にハマっているパパは多いんじゃないかなぁ……。妻の意思を尊重するのは、間違っていると思いません。でも、仕事においても育児においても「指示待ちマン」はイケてません。