日本で売らないから高利回りが保てる面も

「元本保証で、5年で2倍!」「スイスの○○ファンドで年20%」といった夢のような高利回りで個人投資家を勧誘する海外ファンドがインターネットなどを通じて紹介されている。もし本当なら、誰だって低金利と株安で手詰まり感のある国内運用をやめて、海外ファンドに資金を移したくなるだろう。だが、うまい話が簡単にあるはずもない。よく調べて投資しないと、深い「落とし穴」にはまってしまう。

一口に“ファンド”といっても、さまざまなものが世に出回っている。

(1)投資家から集めた資金をファンドマネジャーが株や債券などに投資して運用するファンド

(2)新規または既存の特定の事業に投資するビジネス系ファンド

(3)資金集めだけを狙った詐欺ファンド

どれも“ファンド”と名がついているが、その中身は大きく違う。詐欺ファンドは論外だが、一般的に多くの個人投資家が注目している海外ファンドとは、日本の投資信託に近い(1)を指している。これらは主に海外の運用会社が組成・運用し、ケイマンやルクセンブルクのようなオフショアと呼ばれる無税または税率の低い国に籍を置き、国外で販売されているものだ。

運用手法に規制が少ないため、高度な金融工学を駆使して相場の状況に即した運用ができ、投資対象も広範囲に及ぶ。たとえば個人の生命保険を投資対象とした海外ファンドなどがある。生命保険を解約するより高い価格で買い取り、将来保険金を受け取った時点でファンドの利益となるような商品だ。日本国内では認可が得られない可能性が高いが、しかし、海外ならそれも可能である。また海外の優良な運用会社が日本に進出しにくい要因の一つに、規制が多いとともに、日本語で各種資料をつくる必要がある点が挙げられる。

国内で販売されている投信にも外国籍のものがあるが、金融庁の管轄下、運用手法や投資対象が制限され、販売体制の構築や資料作成にもコストがかかる。それが低利回り・高手数料の一因ともなっているのだ。そこで、賢明な投資家はおのずと海外の優良ファンドを目指すこととなるが、きちんとした海外ファンド情報を入手しなければ(3)をつかまされることになりかねない。