TVerリニューアル直後に批判が殺到したワケ
民放公式テレビ配信サービス・TVerが4月1日に行ったリニューアルの評判がよろしくない。リニューアル当日からネット上には、「何でこんなに使いづらくした?」「見たい番組がさらに見つけづらくなった」「無料アプリとはいえ、いろいろストレス」「広告が多すぎる」などの声が上がり続けている。
つまり、その多くは「見た目も使い勝手も悪い」というユーザーインターフェースのダメ出しなのだが、「使ってない人が作ったとしか思えない」「改悪」「とにかく前の仕様に戻して」「TVerはもう見ない」とまで言われてしまうとは思っていなかっただろう。
それらの声を受けたTVerは4日に「『お気に入り』の表示順」など一部機能の改善を実行。さらに8日、「『まもなく配信終了』リストの掲載」「『さがす』ページの使い勝手」「新着情報の掲載方法」「ランキングページの表示内容」の早期改善を予告するという緊急対応を余儀なくされた。
それでも不満の声は収まっておらず、かねて指摘されてきた「テレビ業界はネット配信が下手」「他の動画配信メディアに劣る」という印象を拭えていない。さらに、「『無料で番組を配信している』という上から目線」「このリニューアルは『嫌なら見るな』ということなのか」などの姿勢に関する強烈な批判も見られる。
テレビ局は現在、TVerやネット配信についてどんなことを考えているのか。彼らに本当の意味での危機感はないのか。なぜこのような批判を招いてしまうのか。日ごろ、各局のテレビマンから見聞きしている情報をベースに、彼らの現在地点を掘り下げていく。
テレビ局員がネット配信に対して本音で思っていること
現在、テレビ局はネット配信についてどんなことを考えているのか。テレビマンの多くは危機感を抱き、少しの希望を見いだしはじめている。
やはりYouTubeや動画配信サービスの普及は彼らにとって驚異であり、「テレビ自体の相対的価値が下がった」ことを実感している。
それは単に「視聴率が下がり続けているから」だけではない。例えば、起用していたタレントやスタッフ、さらには同僚の局員が「YouTubeや動画配信サービスに出演・転身する」というケースが続いていることも、ボディーブローのようなダメージを与えている。