アベノミクスに日本経済を成長させる力はなかった

そもそも「アベノミクス」で日本経済は成長しているでしょうか?

GDP成長率、実質賃金、どれも「横ばい」がやっとというのが現実ではないでしょうか。それもそのはず。「アベノミクス」にはもともと、日本経済を成長させる力などなかったのです。

先ほど、「アベノミクスで日銀がじゃんじゃん円を刷った」と言いました。実際、日本円の「総量」とも言うべき「マネタリーベース」は、2022年3月の時点で「662兆円」まで膨らんでいます。「アベノミクス」開始前の2012年12月の時点では「132兆円」でしたので、「激増」しています。

「マネタリーベース」とは、簡単に言うと「日銀が直接供給するお金」です。その内訳は、「日銀当座預金」と、市中に出回る現金がほとんどです。

しかし、マネタリーベースが増えても、お金が市中に出回らなければ、意味がありません。その「市中に出回っているお金」は、マネタリーベースではなく、「マネーストック」が該当します。

その「マネーストック」の推移を見てみると、実はあまり増えていないのです。

大きな「ツケ」をいま国民が払わされている

2012年12月に1135兆8000億円だったマネーストック(M3)は、2022年2月には1532兆4000億円と、1.35倍にしかなっていません。「マネタリーベース」が約5倍になっていることを考えると、ほとんど増加していないといっても過言ではありません。

つまり、日銀がじゃんじゃんお金を刷っても、市中にはほとんど出回っていないのです。

「アベノミクス」には3本の矢が配備されていました。「第1の矢」は大胆な金融政策、「第2の矢」は機動的な財政政策、そして「第3の矢」が民間投資を喚起する成長戦略でした。

ところが、実際に行われたのは「第1の矢」だけで、残り2本の矢は放たれなかったのです。

仰々しいキャッチコピーや、メディア対策によって、「アベノミクス」は世論の圧倒的な支持を集めました。しかし、それはイメージ戦略にすぎなかったのかもしれません。

一方、いま発生している「円安」と「物価上昇」は、アベノミクスの「ツケ」といっても過言ではありません。

SNSが発達した現代、さまざまな「情報」が「意図」を持って流されています。そんな中、わたしたちが資産を守り、増やしていくためには、一つひとつの情報が本当に正しいかを、自分の目で確かめることが必要になっていると思います。

【関連記事】
「取りやすいところから徹底的に取る」政府がたばこの次に増税を狙っている"ある嗜好品"
「お金が貯まらない人は、休日によく出かける」1億円貯まる人はめったに行かない"ある場所"【2021上半期BEST5】
頭のいい人はそう答えない…「頭の悪い人」が会話の最初の5秒によく使う話し方
日本のビッグマックはタイより安い…日本が急激に貧しくなったのは「アベノミクス」の責任である
「だから中国企業に負けるようになった」ソニー元CEOが危惧する日本企業の"官僚依存"という大問題