創作活動に会社は不可欠だ
日本語は難しい。そして奥深い。そう実感するのがパソコンで入力した平仮名を変換するときだ。同音異義語にカタカナが入り交じり、時に、神の仕業ではないか、という“作品”が現れることがある。
「ギフトセット」ならぬ「岐阜とセット」! そういう間違いをしないのがこれですよ、という日本語入力システムのテレビCMをご存じだろうか。この作品のネタ元となった単行本『ゆかいな誤変換。』(イースト・プレス)の著者がヨシナガ氏(30歳)で、表の顔は大手IT企業に勤める、一見実直なサラリーマンだ。
SEとしての会社の仕事と創作活動の二足のわらじで、氏の日常は多忙を極める。起床は毎朝8時半で、9時半には出社する。昼休みが空いたときには、一日数万のアクセスを誇る自身のウェブサイトの更新を行うこともある。夕飯を済ませ、夜の9時頃帰宅すると、そこからがクリエートの時間。4時間半ほど寝てあとは徹夜か、朝4時頃まで頑張って、その後睡眠を取るか、その日の体調と気分に合わせて使いわける。土日も基本的に創作活動にあてている。その甲斐あってか、携帯電話から閲覧する有料サイトの運営、テレビ・キャラクターのデザイン、電子書籍の制作、ツイッターを利用したライブ中継、トークライブへの出演と、活動領域は末広がりだ。
もともと絵を描いたり、文章を書いたりするのが子どもの頃から好きだった。ただ、中学から高校、そして大学に進むにつれ、才能の限界に気づく。上には上がいたのである。が、やめるつもりは毛頭なかった。